気まぐれ王子と召使い



ミシミシ、と4人分の足音が、古く腐敗が進んだ板を踏みしめる。

何も見えない暗闇の中で、一つの懐中電灯の灯りだけが私達の生命線のように思わせた。



「お前らは旧校舎の噂を知ってるか?」


真堂は、嫌に冷たい風が通り抜ける旧校舎を淡々と進んでいき、横目で私達を見た。



「えーっと…旧校舎って言ったら色んなのがあるけど、"旧校舎の隠し通路"が一番気になるかな」


「お、その話知ってたか。流石だな山吹」


真堂の言葉に水瀬ちゃんは眉を顰める。


「……山吹ってオタクっぽいもん、そーゆーのばっか見てそーだし」



ジトっとした目で私を見てくる水瀬ちゃんに曖昧に笑って返す。

そんなの真堂だって一緒なのに水瀬ちゃんは毎回私にだけ言うんだ。



「……俺は、それ知らないかも……啓と夕香里は物知りなんだね…」


「私と真堂は元々そういうの好きだから…」


「"私と真堂は"ってなによ。アンタだけじゃない?真堂は違うかもしんないじゃん」


「いや?好きじゃないならわざわざ旧校舎行こうなんて誘わないよ」



なぜかギロリと私を睨みつける水瀬ちゃん。
こんなの八つ当たりだ…