結局世那は帰りのHRの時にフラッと教室に帰ってきて、そのまますぐに帰ってしまった。
私の方を見もしないで。
「……なにが"見捨てたりしない"だよ…」
とぼとぼと廊下を歩きながら独り言ちる。
そもそも見捨てられて困るのは世那の方だ。
私じゃない。私は世那がいなくてもどうにか生きていける。
そう心の中では思っているものの、心はどんよりと沈んだままだ。
廊下を歩いていると、ふと肩をポンポンと軽く叩かれる。
思わずバッと振り返ると、猫のように目を細めて笑う真堂の姿があった。
「よっ!山吹」
「………なんだ、真堂かぁ……」
「なんだ、とはなんだよ?涼井じゃなかったのがそんなに残念か?」
「そ、そんな訳ないじゃん…それに、どうしてそこで世那の名前が出てくるの?」
「甲斐が"夕香里ちゃんと世那が喧嘩してる…"ってしょげてたからな。俺にはお前らの事なんて筒抜けだぜ」
ニヤニヤと笑いながらピースサインを作る真堂にげっそりとする。
相変わらず情報が早い男だ。


