気まぐれ王子と召使い


「で、どうだ?世那。今日は大丈夫そう?」



帰りのHRが終わり、甲斐君が蘭々とした目でうちのクラスに来る。
さてどうするかと世那を二人で見ていると「おー」と抜けたような声で世那が返事をする。



「いいよ、今日は暇だし」


「よっしゃー!世那の家行くのとかめっちゃ久しぶりなんだけど!」


「いちいちお前はオーバーリアクションだなぁ…ま、良いけど」



(にしても機嫌が良いなー)

こんなに世那が機嫌が良い日も珍しいもんだ。

ウキウキで教室から出る甲斐君に連れられるように私達も教室を出る。


(……あ、桜木先輩)


美しいセミロングの髪を軽く手で梳かしながら、物憂げな顔で私達を見ているのは間違いなく、あの桜木先輩だ。

ひとつ上の桜木先輩が二年の教室に来てるってだけでも、周りはザワついているのに、当事者の世那は桜木先輩の方を見向きもしなかった。

きっと桜木先輩は世那を待っていたんだ、世那と一緒に帰るつもりで。



「桜木先輩だ、珍しいなー、二年の教室に来るなんて」



甲斐君が物珍しそうに桜木先輩を横目に見ると、世那は「ご苦労なことで」と鼻で笑った。