「分かってるよ、世那に口答えしてるんじゃん」
「……また真堂の仕業か?変な事吹き込まれたからって騙されてんなよ」
「違う!私が私の意思でちゃんと世那に言ってるんだよ」
「へぇ?俺に引っ付き回ることしか出来なかった金魚のフンが?今更自分の意思でなにが出来るって言うんだよ」
手が真っ白になるほど握りしめる。
人間、怒りが湧きすぎると言葉がすぐに出てこないらしい。
ぅっ、とか、ぁぁぁっとか、意味の分からない擬音が口から漏れだし、どうにか世那を言い負かしてやりたいという考えしか頭になかった。
「わ……ッ、私は、っ!真堂と前に心霊スポットとか一緒に行ったことあるからッ!!今回が初めてじゃないから!!」
普通の人からしたら、だからなに?って思える内容だと思う。
でもそれは世那からしたら違ったようで、目をまん丸にして信じられないような顔で私を見つめていた。
「……は?いつ……?」
「こ、高一の時……だから、"今更"世那に許可なんて取る必要ないんだよ」
「…………しょうもな……」
さっきまであんなに感情的になっていたのに、世那は冷めたようにスッと表情を無くすと私から顔を背けた。
「もうお前なんてどうでも良いから、好きにすれば」
「ああ、好きにするよ」
「一人じゃなんにも出来ない空っぽな人間のくせに」
私は今度こそ世那の言葉に何も返さなかった。
私にはそれはもう返す価値のない言葉になったからだ。


