気まぐれ王子と召使い

朝。8時20分頃。




「おはよう、世那さん」


「おー」



あ、今日は機嫌が良いみたいだ。

ひらひらと私に手を振る世那に、周りの人達がホッとしたような顔をした。

世那の機嫌は大体最初の一言目で分かる。
機嫌が悪いとシカト、更に悪ければ舌打ち。それ以外なら大抵機嫌が良い時ってわけ。



「昨日はどうだった?」


「昨日?あー、カラオケ行ったぜ。そんでノリで付き合う事になったわ」


「うわあ……」



出たよ、いつものパターン。

世那はその場の気分と勢いで物事を決める癖がある。これも昔からの癖だ。

本来なら桜木先輩のような高嶺の花と付き合うなんて簡単には出来ないが、世那に常識なんて通用しない。

昨日の今日で、甲斐君がこの話を聞いたら卒倒しちゃうんじゃないかってぐらいのスピード感だ。



「世那ってさぁ……本当、勢いが良いよね」


「俺はピンと来たら誰とでも付き合うから」


「昨日の今日じゃん、あの子に恨まれても知らないよ?」


「そーゆーの逆恨みって言うんだぜ。いちいちそんな妄言に付き合ってられないっつーの」



あぁ、おいたわしやブロンドヘアの女子よ…

でも世那の性格は、同学年じゃ周知の話だ。
ひとつ上の桜木先輩はともかく、昨日の子は世那がどういう人間か分かってて付き合ったんだから、文句も言えないだろう。

言っちゃ悪いけど付き合う方が悪いんだ、世那とは。