「世那ー?世那さーん」
結局、世那は2時間目が終わった後も来なかった。
機嫌が悪くなると勝手にどこかに行く癖は、昔から治る気配がない。
仕方なく私と世那の弁当を持って屋上を探していると、案の定と言うべきか、貯水槽からひょっこり私を見下ろしていた。
「ご苦労下僕。あの馬鹿頭は一緒じゃないのか?」
「甲斐君なら委員会の集まりで居ないよ。全く、そんなポンポン授業サボってちゃあ卒業出来ないですよ、坊ちゃん」
「それは大変だ、不安で不安で昼寝が捗るね」
ふあぁ、と眠たげな眼で欠伸をすると、貯水槽からひょいっと私の横に綺麗に着地した。
授業をサボって機嫌が良くなったのか、世那はクスッと美しく笑った。
「さっき3年のクラス行ったんだ」
「ほうほう?」
「そしたら桜木先輩見つけたからさ、暇つぶしに口説いたら今日の放課後デートする事になったんだよねー」
「なにぃ…?」
さっきまでは全然乗り気じゃなかったのに、心変わりするのが早すぎやしないだろうか。


