気まぐれ王子と召使い


『俺を拒絶しないで、夕香里……お前だけなんだ』


『お前だけが俺の全てなんだよ、だから、俺をまた愛してるって言って?』


『そしたら、ずっと我慢してみせるから。お前の為だけに生きるから、お前を守って、お前の全てになれるように頑張るから…だから、俺とずっと一緒に居てよ、他の女と関係なんて持たないでお前だけを見てるから、だからっ、』



プツン、と電話を切った。

これ以上聞いたら、怖くて怖くて頭がどうにかなりそうだったから。


もう、全部終わったんだよ、世那。



目を閉じて深く息を吸い込む。


思い出すのは、世那の見せてくれた優しい笑顔、拗ねた表情、そして手の温もりだけ。


世那は私に愛してると言った。


でも、それならなんで私の心を壊すようなことを二度もしたんだろう。

どうして、どうして。

そんな事が無かったなら、私はちゃんと世那を……



(もう、いいや……)



タラレバの話をしたってしょうがない。

今は、ただ眠ろう。