気まぐれ王子と召使い




急いで家に戻って、母さんに何も言わずバタバタと階段を登って自室に閉じこもる。



「夕香里?どうしたの?」



母さんは階段の下から心配そうな声色で声を掛けたけど、私は「なんでもない」と一言そう応えた。


布団にくるまり膝を抱えて蹲る。


もう何も考えたくない。
何も考えないで、彼の顔も見ないで、ただ普通に生きたい。


それなのに、携帯からは何度も何度も何度も何度も着信音が鳴り響いた。


いつまで私のことを支配するつもりなんだろう。

もう、私は貴方に縛られたくないのに。


何時間も鳴り響く着信音に気が狂いそうになりながら、耳を両手で力強く塞ぎ込んだ。