気まぐれ王子と召使い

コツ、コツ、と黒板にチョークを走らせる音が響く。

周りの生徒は真面目にノートに書き写している人も居ればすやすやと寝ている生徒もいる。

肝心の世那の様子を見るといやらしく口角を上げて愉しそうに西宮先生を眺めている。

ドクンと心臓の鼓動が鳴り、嫌な汗が背中を伝った。


「……と、あと5分で授業が終わりなので今日はここまでにします。なにか質問ある方いますか?」



黒縁眼鏡に自信が無さそうに視線を揺らす西宮先生は、遠慮がちに教室の中を見渡した。

シーン、と静まり返る教室の中で「せんせー」と気の抜けたような声で世那はヒラヒラ、と手を振った。


「……なんでしょう、涼井君」


「センセーって今彼氏とか居るの?」


「せ、世那……っ!」



突然の質問にクラスの中がザワつき出す。

なにを考えているんだと困惑してる顔の人も居れば、噂を知っているからかクスクスとその状況を楽しむ人も居るみたいだった。

世那に小声で非難するように呼びかけても世那は反応を返さない。

分かってて無視してるんだ。