気まぐれ王子と召使い

女子生徒はいきなり世那に話しかけられたからか、顔を真っ赤にして慌ただしく身振り手振り話し始めた。



「き、きっ、霧島君なら、今日は風邪で休みで……」


「はぁ〜?タイミングわるー……」


「おい世那、霧島も居ないことだし引き上げない……?」


「だから派手頭は帰れよ、うっせーから……なぁ、アイツが西宮と付き合ってるって噂、本当なの?」



世那は女の子の隣の席の机に堂々と座ると、辺りを見渡しながらヘラりと笑った。



「わ、分からない、けど……よく西宮先生と話してるのは見るから、皆噂してるよ…」


「親密な感じで?」


「うっ、うん!」


「へぇ、そう……他には?まだあの女男に関するウワサとかないの?」


「世那君、もういいから……」



教室のドアから様子を伺いつつ世那を後ろから呼ぶ。
鬱陶しそうに私を見やると、チッと舌打ちをした。



「本人不在じゃどうしようもないよ…教室に戻ろう?」


「……うるせぇな、さっきから……分かったよ、戻ればいいんだろ、戻れば」



はぁ、と諦めたようなため息を付くと、世那はひょい、と机から離れた。



「じゃあな、2組の諸君。また顔出しに来てやるよ」



そう言って世那はニッコリと笑みを深くして2組の人達を見渡した。

女子は皆顔を赤くしたり、ヒソヒソとなにか話したりしていたが、男子はそれとは反対に迷惑そうに顔を歪ませ辟易とした態度を取っている。


私には世那の"気まぐれ"が長く続かない事を祈る事しか出来なかった。