「空気は読める須藤ってだけだから、アンタ。自分は関係ない、皆の気持ちを考えてるって顔だけはいっちょ前にしてるけど、それって責任から逃げてるだけじゃないの?」
「……違うよ」
「なにが違うのよ。分かんでしょ、凉井がアンタに好意あることぐらい。全部見て見ぬふりして、凉井が求めるから仕方なく一緒にって?アンタ人の好意をなんだと思ってんのよ」
そんな事ない。
そんな事ない、のに、水瀬ちゃんの私を責めるような真っ直ぐな瞳を直視出来なかった。
(水瀬ちゃんは、真っ直ぐすぎるんだよ)
私だって、皆がどうすれば良い方向に進むか努力してるんだ。
世那だって、私のこと恋愛対象として見てるわけじゃないのに。
きっと。
「って、もうこんな時間じゃん!私戻るから、あのバカナルシ男のことどうにかしなさいよ!」
「…………」
うん、とは言えなかった。
慌てたように廊下を走っていく様子を呆然と眺めながらも、私も自分の教室の中に入った。



