「あれ?夕香里ちゃん、世那は?」
「授業中に脱走しちゃった……」
「うへぇ、またかよ〜」
昼休み。
教室から逃げるようにお弁当を持って教室を出ると、甲斐君とバッタリ鉢合わせをした。
私の話を聞いて甲斐君は困り顔をしながらどことなく楽しそうに笑った。
「…そう言えば須藤さんは?」
「え?あー、須藤ならバド部の用があるって言って今日は居ないけど」
「そっか……」
ホッとしたような、モヤモヤするような。
須藤さんは決して悪い子じゃないし、むしろ良い子だと思うんだけど、世那とは全く合わなさそうなんだよなぁ。
頬を赤く染めながら世那を見る須藤さんを思い出し頭を抱える。
「……甲斐君……」
「ん?」
「須藤さんが、もし……もしだよ?世那のこと好きになっちゃったりしたらどうするの?」
ビキっ、と甲斐君は全身を石のように固まらせた。
そして、甲斐君は口を引き攣らせながら「……いやいや」と呟いた。


