気まぐれ王子と召使い



「あの馬鹿頭に声を掛けてやったのは間違いだったかなー」



自習の時間。
スラッとした長い脚を机の上にドカンと置きながら世那が言った。

いくら自習の時間でクラスの中がザワついてるからって、北川先生の目に入ったら流石に怒られそうだ。


「せ、世那さん……行儀悪いよ…北川先生にバレたら怒られるって……」


「あの馬鹿が須藤とかいう女に無理矢理俺を紹介するからこうなんだよ。付き纏われていい迷惑だっつーの。なぁ?」


「……まぁ、甲斐君はちょっと今回強引だったよね」


あの屋上での一件以来、須藤さんは世那の前によく顔を出すようになった。

移動教室の時、短い休み時間中、そして、昼休みの時などなど。

こうなる事を恐れて世那と私は最初から乗り気じゃなかったって言うのに、半ば強引に甲斐君が紹介しちゃうからこうなってしまうんだ。


(あれは完全に須藤さん世那のこと気になってる感じだもんなぁ)


甲斐君もまさか2回会わせただけで、須藤さんが世那にどっぷりハマるとは思うまい。

可哀想だが、甲斐君の危機管理能力の欠如が招いた結果だ。
世那をそこら辺の男子生徒と一緒だと思うのがそもそも間違いではある。



「顔が良すぎるのも罪なんだな〜……」



はぁ、と目を伏せる仕草は確かに目眩がするほど様になっている。
世那だから許されてるけど、こんな発言を他の人が言ったらコテンパンに言われてるに違いない。