「……世那……?」
「…………」
口が開いたと思えば、その口はゆっくりと閉ざされていく。
目を逸らしながらも、私の腕を掴んで離さないその手は、どこか子供のようだった。
私と世那の様子を真堂は興味深そうに見た後、ヘラりと緩い笑顔を残しこの場を後にした。
「……世那さん、大丈夫だよ。私は真堂の所に行ったりしようとしてないから」
しばらく経っても離されない手に何とも言えない気持ちになり、諭すように話すと、ゆっくりと私の腕が解放されていった。
世那は心配なんだろうか、私がどこかに行くのが。
私と同じ不安を抱いてる世那が愛おしいし、どれだけ脆い生き物なんだろうって、感じてしまう。
世那は誰よりもカリスマ性があって、人を惹きつける才能があるのに、私にだけこんな寂しがり屋な所を見せてくれる。
どこか優越感があって、それでいて、私達の世界に隔離されたような不思議な感覚になる。
(……あ、水瀬ちゃん、さっき"琥珀"って言ってたな…)
最初は霧島って言ってたのに、いつの間にか下の名前で呼んでいる。
旧校舎探検に行ったのは私もなのに、私だけが鳥籠に取り残されているようだった。


