バッとリビングの扉を開ける。
ビクッ!と驚いたように身体を揺らす二人に、私は大きな声を出した。
「お風呂!!お風呂上がったよーー!!」
「あ、あぁ、そう……じ、じゃあ、お布団!敷いてこようかしら……」
「びっっくりした……お前、そんな勢いよく入ってくんなよ!心臓止まるかと思っただろうが!」
冷や汗をかいているのか、世那は珍しい狼狽したように私を見ていた。
話の流れが良くないような気がして勢いよく入ったが、世那と母さんにしてみたら心臓に悪かったかもしれない。
母さんが私の部屋に布団を敷きに行ったのを確認して、探りを入れるように世那に小声で話しかける。
「……さっき、母さんと何の話してたの?」
「別に?いつものやつだよ、夕香里をよろしく〜みたいなやつ」
ヘラりと笑う世那の様子に嘘は無さそうだ。
「母さんが言ってること、本当に間に受けなくて良いからね?口を開けば彼氏がどうとか、結婚がどうとか……」
「お前のこと心配してんだろ。俺んとこのクソ女なんて、"産んでやったんだからさっさと身のひとつでも売って金に替えてこい"ってうるせーよ」
それは世那の母親が特別最低なだけだ。
赤の他人、ましてや実の息子に対して言うようなセリフではない。


