お風呂から上がり、脱衣場で着替えている時。
ふと、母さんと世那の話し声が聞こえた。
(……なに話してるんだろう……)
どこか神妙な雰囲気の中で話してる二人に気付かれないように、そっと壁越しに耳をピタリとくっ付ける。
「……世那君は、どういう子が好きなのかしら?家庭的な子なら夕香里も良いかなって思うんだけど…」
(またそんな話ばっか……!)
よりにもよって世那にも話すなんてどうかしてる。
苛立ちが胸に募っていくのを感じながら、やり取りを聞いていると、世那は「うーん」と考え込むように言葉を発していた。
「おばさんは…俺と……夕香里がどうなって欲しいの?」
「え?ど、どうなってって……」
「別に俺はそういう関係にならなくても、夕香里の事を捨てたりしないし、あいつだって俺から離れないと思うけど。それじゃ駄目なの?」
どくん、と心臓が跳ねる。
世那だって私と同じことを考えてる。
私と世那は特別なんだ。他の人達とは違う。
じんわりと心が温まっていく中で、母さんは「でも」と言葉を紡いだ。
「……それじゃ、世那君は、夕香里を恋愛的な目で見てないってこと?」
「だから……そういう目で見る必要が無いって言うこと。俺達は俺達で上手くやってくから、おばさんは心配しないで良いって」
「じゃあ、夕香里に彼氏とか出来ても良いの…?」
「あいつに彼氏なんて要らない、夕香里は、俺とずっと一緒にいるから」


