気まぐれ王子と召使い

仮にも付き合っているのなら聞けそうなもんだけどなぁ。


私の心の内が伝わったのか、桜木先輩は困ったように微笑んだ。



「そう、だから怖くて聞けないの。"もう飽きたから別れよう"なんて言われたら、泣いちゃうから…」


「……なんで世那と付き合ったりなんか…」



桜木先輩にはもっとふさわしい人間がいると思う。


「なんで、なんでかぁ……なんて言うのかな。キラキラしてて、自分にすっごく自信があって……私をどこに連れてってくれるんだろうって思わせてくれるような、そんな人だったの。だから、初めて話したのにどんどん夢中になって…」



そう夢見心地で言う桜木先輩に、内心哀れみに近い感情が芽生えてくる。

まるで結婚詐欺に騙されてる女性を見てる気分だ。

詐欺って言っても、金銭を騙し取ってる訳じゃないから捕まえる事も出来ない。
そう考えると結婚詐欺よりタチが悪いかもしれないなー。



「桜木先輩……先輩ならきっと世那より良い人が見つかると思うので、いっそ先輩から別れを告げるって言うのも手かと……」


「そんな事が出来てたらわざわざ貴女を呼び止めたりなんてしてないよ」



苦笑混じりに言う桜木先輩に、確かにと納得した。

でも世那も人が悪いよ。飽きたなら早く手放してやればいいのに。