「クソッ、あの女、お前をダシに使いやがった」
私の手を力強く引きながら前に歩く世那の表情は私からはよく分からなかった。
「お、怒ってないよ、私は……だっ、だから、暴力はやめて…、」
「真堂と言いあの女と言い一体なんなんだよ、俺達の邪魔ばっかりしてきやがって…」
「痛い、世那さん、強く引っ張らないで」
「俺はただ、自由に、お前と……」
「痛いっ、お願いだから、もう少し優しく握って……」
世那はハッとしたように立ち止まり、手を緩めさせた。
強く握られて真っ白になった手を、世那はどこか気まずそうに見つめた。
悲しんでたら嫌だなと思って、無理矢理口角をあげて笑う。
「ちょっ、ちょっと桜木先輩もしつこかったよね……あ!私は全然本当に桜木先輩の言ってたこと気にしてないから大丈夫ですよ!」
「……なにが大丈夫なんだよ」
「へ…?いや、気にしてないっていう……」
「あの女は俺の特別になろうって考えてたんだぞ」
嫌悪感で顔を歪ませ怒りをあらわにする世那に、なんて応えるのが正解か分からない。


