気まぐれ王子と召使い


愛おしそうに世那を見つめる桜木先輩に反して、世那は気怠げに苛立たしく舌打ちをした。



「なに…今度はストーカー?ハッキリ言ってクソキモいよ、先輩」


「私ね、他の人と付き合って気付いたの…世那君だけが私の特別だったんだって……」


「……自分の世界入っちゃってんじゃん、やってらんねー。下僕、行くぞ」


「え?あ、うん……」



桜木先輩の横を通り過ぎようとした世那の腕を、先輩はギュッと掴んだ。


「待って、まだ話したいことがいっぱいあるの」


「離せよ、気持ち悪ぃな……そういうのは早崎とかいう馬鹿にやってやれよ」


「早崎君とはもう別れたの……世那君を忘れられないから」


「俺はアンタのことなんかとっくの昔に忘れてたけどね。言っとくけど、俺はアンタに1ミリの未練も無いから」



感情の乗らない声色は明確な拒絶の意思が含まれている。

流石の桜木先輩もそれに気付かないほど鈍くはない。
世那の刺々しい言葉に悲しそうに顔を歪ませるも、必死に言葉を紡ぐ。



「っ、お願い!また私とやり直して……っ」


「しつこいな……無理だっつってんの分かんない?気まぐれで付き合ってやっただけなのに、いつまでピーピーほざいてんだよ」


「私、なんでもするからっ!世那君の為なら私…!」




「山吹さんに出来ない事、全部私にしていいから…!」