そんな真堂にいっそ清々しさを覚えていると、早崎が「山吹さん」と何とも言えない声色で私を呼びかけた。
「また巻き込んだのは悪いと思ってる……でも、アイツとはなるべく関わらない方が良い」
「早崎、お前あんなに背中痛めてまだ反省してないのか…?」
「違う!これは事実だ。周りの奴らだって皆言ってる、"アイツは人の事を都合の良い道具としか思ってない"って」
「……世那さんはそんなこと……」
無い、とは言いきれないのが世那の残念な所だ。
少なくとも桜木先輩にした仕打ちは近しい物があるから、早崎の視点から考えるとそうなってしまうのも無理は無いのかもしれない。
「いつかアイツは絶対にアンタを裏切る。これは絶対だ」
「やめろよ、夕香里ちゃんを不安にさせるようなこと言うなって」
「甲斐、お前もだ。アイツは化け物だ。きっといつか裏切られる」
「中学時代のアイツを知ってるんだ。アイツは罪を犯した…、」
「そこまで」
真堂は有無をも言わさない声色で早崎を制止した。
「これ以上言うと俺のネタが無くなっちまう。それに、山吹も傷付ける事になるしな」
また世那の中学時代の時の話だ。
それに、私を傷つける?
早崎はバツが悪そうに舌打ちをすると「…忠告はしたからな」と私と甲斐君を交互に見つめ踵を返した。
「早崎のやつ、また適当なこと言って……」
呆れたようにため息をつく甲斐君と意味深げな視線を寄越す真堂。
まるで私を観察するような視線に、辟易とした。


