「ゆ、夕香里ちゃん……」
甲斐君が焦ったように私の目を見つめ、早崎は少し気まずそうな表情をしていた。
「山吹、俺の前で盗み聞きとはいい度胸だな」
「あっ、盗み聞きするつもりは……」
「お前、俺らが話してると分かるやいなや物陰に隠れてただろ?全部気付いてたよ」
真堂の口元は笑みを浮かべているが、目は全く笑っていない。
まるで"コソコソとするな"と非難するような視線に頬が引き攣った。
「山吹さん」
凛とした声にハッとなり声の方を向くと、早崎が私を真っ直ぐと見つめていた。
その瞳はマグマの様に煮えたぎっており、強い想いを訴えかけているようだった。
「アンタと涼井が仲良いのは分かってる。でも、涼井の居場所を教えて欲しい」
「いや、それはちょっと……それに分からないし…」
「いい加減にしろよ!夕香里ちゃんまで巻き込むつもりか?」
甲斐君が私の前に立ち、早崎から庇うように遮ってくれた。
こういう時の甲斐君は頼りになるなぁ。


