気まぐれ王子と召使い


私の苦しい言い訳が通じたのか、水瀬ちゃんは「そうかな……?」と可愛らしく上目遣いで私を見つめてきた。


「わざわざ教えてくれるなんて、山吹って意外と良いところあるじゃん?」


「あー……まぁ、はい…」


「なーんかアンタと話してたらスッキリしたかも。最近、真堂の周りうろついてる変な女が居るからイライラしてたのよねー」


「……変な女?」


「三木 雫のことよ!知らない?アンタの飼い主の元カノじゃん」



飼い主って、まさか世那の事を言ってるのかな。

三木 雫……桜木先輩の前に付き合っていたブロンドヘアーの女の子だろうか。

イマイチピンと来てない私にこれ以上の話は無駄だと思ったのか、水瀬ちゃんは「もういいわ」とため息をついた。


「じゃあもう行くから。真堂から私の話を聞いたらこっそり教えなさいよ」


「え?あぁ、うん……」


水瀬ちゃんに軽く手を振りながらも頭の中は疑問で埋め尽くされている。

世那の元カノがなんで真堂に?


(いやいや、世那は全く関係ないかもしれないし)


そもそもあの子は世那と1ヶ月ぐらいしか付き合って無かったじゃないか。

そんな関係の薄い子だ。きっと個人的な都合で真堂に関わりを持っているんだろう。

世那は無関係だ、きっと。


飲み物をギュッと握り締めて、世那が待っているであろう教室に逃げるように向かった。