「……なぁ、本当に水瀬達まだ残ってんのか?」
ガスマスクを手に持ったまま懐疑的に聞く甲斐君に真堂はヘラりと笑って返した。
「残ってるさ。きっと旧校舎の出口ら辺で二人して待ってるよ」
「やけに自信あるね?」
「水瀬は俺と山吹がどうしてるか気にしてるだろうし、霧島も水瀬を置いて帰らないだろ」
言われてみればそうだけど、そうなると水瀬ちゃん達は1時間近く私達を待っていたことになる。
半信半疑で三人で出入り口の方に向かっていると、生徒玄関の方に二人分の影が見えてきた。
(うわ、本当に待ってた……)
不安そうに何かを話してる水瀬ちゃんに、いつものようにぼーっとした様子で応える琥珀君。
「ほら、言ったろ?」
「ま、マジだ……で、これ本気でやんのか…?」
甲斐君はガスマスクを見詰めて少し不安そうに真堂に確認をした。
真堂はそんな甲斐君を気にすることも無く、ガスマスクを指差して爽やかに笑った。
「ああ。甲斐、これを付けて水瀬達を思いっきりビビらせてみろ」
「ビビらせろっつってもなぁ…霧島はともかく、水瀬に俺がやってるってバレたら殺されんだろ…」
「贖罪をする良い機会だろ?ほら、さっさとやれよ」
そう言って真堂は甲斐君の尻を軽く足で小突いた。
甲斐君は全く乗り気じゃなさそうだが、覚悟を決めたのかガスマスクを被りゆっくりと水瀬ちゃん達の方に歩いて行った。
その晩、学校中に響き渡る程の悲鳴と、愉快そうに笑う声が聞こえたと言う。
こういうのが都市伝説になったりするんだろうなぁ、と水瀬ちゃんにタコ殴りにされてる甲斐君を見てしみじみと思った。


