きみの春に、溶けていく

きっとこれはただの奇跡だーー

『おい、また寝坊か。ほんとに灯は朝弱いなぁ』

ごめんね、昔から朝は弱いの。

『だからもういいって、そういう恥ずかしい過去を赤裸々にバラすな!』

そう言って、本当は嬉しいくせにって思ってる。

『将来は宇宙飛行士になりたい。誰にも言うなよ。恥ずかしいから』

照れくさそうに語ってくれた、大きな夢。



『どうか……生きて』



ーーそして、両親のこと。
最期の、言葉。


朔のこと。



こうして全部思い出したよ。


「朔、宇宙飛行士、いつかなれるといいね」

「灯!! 」

「今度、秘伝のアップルパイまた作るね」

「思い出したんだな。……ずっと言いたかった」


朔が泣きながら笑って言った。


「”俺”は灯が大好きだ!! 結婚してくれ」


「私も、朔を愛するために生まれてきた」


きゃー!!!
と会場の声援に包まれる中、私たちの心の雪は溶けていった。
幸せな幸せな、きみとだけの春の中で。


【きみの春に、溶けていく・~完~】