きみの春に、溶けていく

両親のお墓は、私たちの故郷の近くにあって、西洋風のものだった。彼らはとても開けた場所に静かに眠っている。

「こんにちは、おじさん、おばさん。はじめまして、相馬(そうま)朔といいます」

朔がお墓を撫でていると、また鈍色の空から雪が降ってきた。

「灯、きたぞ」

私の車椅子を朔は墓の前に止めてくれた。
その時はもう冬が本格的に始まり、私は病院に入院していた。
何も思い出せない、何も覚えられない。
そんな状態だった。

「灯のお父さんとお母さんだよ……」

私は車椅子から降りたが、上手く歩けず転んでしまう。
だけど這うようにして、お墓に近づく。

「灯、怪我しちゃうから。車椅子戻ろう?」

「やっ! いや!!」

誰かわからない人が体を触ってきて怖い。

「ぱぱ、まま、ごめんなさい。あかりのせいでしんじゃってごめんなさい。いっぱい痛くて、いっぱい辛くして、ごめんなさい。わーーー!!!」

私はそこで初めて、大泣きした。

「灯、ちがうよ」

その男の人が、優しく言った。

「僕は本当のことはひとつも知らない。けれどこれだけは分かる。”灯を守ってくれて、生かしてくれて、ありがとう”だ」

「まま、ぱぱ、怒ってない?」

「うん、怒ってない。きっと誇らしくて、手を繋いで、灯を見守ってる……」

「お兄さん……なんで泣いてるの?」

「僕も同じだからだよ……そうだといいなと願ってるからだよ」

「お兄さん、泣かないで」