きみの春に、溶けていく

お父さんが言う。

「灯って名前はね、誰かの心を照らせる人になるように願ってつけたんだよ」

「ぱぱ、むずかしい」

「夜のお空にまぁるくあるものはなんだ?」

「お月さま!」

「正解! じゃあお月様はなんで真っ暗な夜でも光ってるんだろうね?」

「わかんない!」

「お昼の太陽さんが照らしてくれてるからなんだ。灯、太陽みたいに大っきくなくてもいいから。いつか誰かの心を照らしてあげる、たった一人の存在になるんだよ」

「たった一人? やっぱりわかんない」

「いまはわかんなくていいんだ。いつか、きっとわかる」

今なら、わかるよ。
お父さん、私は朔の心を照らすために生まれてきた気がする。

朔は完璧だけど、歌手だし、イケメンだし、海外の大学行っちゃうし。

それでも、きっとひとりは怖い。

私も同じだから。

だから、照らしたい。
朔の心を照らしたい。