きみの春に、溶けていく

「お疲れ様! 2人ともすごいよ。正直ここまでだとは思わなかった」

bihukaさんは褒めてくれた。

「俺は普通に楽譜読めるけど、灯は1度覚えた曲は忘れられない病気なんです。でも最近は記憶力が変化してて1日しか記憶が持ちません」

「bihukaさん、こんな私でも本当にいいんですか?」

そういうとbihukaさんは懐かしそうに笑った。

「私もね、病気なの。ぜんそく。でもね、そんな私だから作れる音楽がたくさんあったんだよ。だから、やりたいならその気持ちに蓋をしないで。一緒に頑張ろうよ」

「ちなみに僕は医者だから、なんか困ったことがあったら支えになるよ」

晴さんも安心させるようにそう言ってくれた。

「頑張り……たいです! 病気の私にしかできない音楽があるって。みつけられたらいいなって思います」

「きっと見つかるよ!」

小春さんが手を出してくれたのでみんなで握手した。

「そしたらまた連絡待ってるね。今度事務所に来て色々話しましょう」

「はい!」

そう言って、bihukaさんは楽しそうに帰っていった。

「ねぇ朔、すごいことになっちゃったね」

「東京だしな。こんなこともある」

「あるの!? 東京では芸能人にすぐ会えるし、歌手になれるって忘れないようにノートに書いとく」

「いや、それは書かなくていい。でも僕たち今日から歌手になることは書いとけ。それにしてもグループ名はROOTS、かあ。なぁこれからちょっと行きたいとこある」

「うん。いいよ。どこ?」

「青山霊園。ここから30分くらいかな」

「それってもしかして」

「うん。僕の両親が眠っているとこだよ」

「わかった」

何となくだけど、朔はこのために東京に行くと言ったんじゃないかと言う気がした。だから私は黙って着いていく。

私たちは手を繋いで、30分くらいで霊園に到着した。