きみの春に、溶けていく

「灯は夏休みどっか行きたいとこないの?」

「え、私? んー、どっか遠いとこに行ってみたい」

澄み切った入道雲と、この町ののどかすぎる田園風景を見ながら、私は言った。

「なら、東京いってみねぇ?」

「え?」

「日本の首都だし? 灯はさもっと視野ひろげていいんだよ。小遣いだって多少ならあるだろ?」

「施設の人怒んないかな?」

「僕が東大のオープンキャンパスに参加したいから行くって言ったら怒んないだろ、多分」

「わ、天才はさすがだ」

「つまり、灯も東大志望になるわけだが(笑)」

ひゃー、無理無理!
無理すぎ!

「あ、うん。やってやれないことはないよね?」

「焦りすぎだろ(笑)」

理由なんてなんでもいいんだと、朔は笑った。

でも私が朔とあの東京へ!?

忘れたくない記憶とワクワク感を抱えながら、私は笑った。