きみの春に、溶けていく

帰り道、とぼとぼと歩く私と朔。

多分現実ってやつを先生から突きつけられたんだ。

でも、不思議と悲しい気分ではなかった。


「朔、今日はありがと」

「え、なに」

「ついてきてくれて」

「僕、そんなに役に立たなかった」

「そんなことない!」

「そう?」

「そうだよ。すごく心強かった。薬とかさ、あんまり意味ないってことは本当は気づいてた。でもそういうことも、明日にはまた忘れちゃうんだ」

「灯……」


なんだか冷たい風が二人の間を通り抜けていく。

それでも、その後には朔が繋いだくれた手のひらの温かさを感じた。

「でも、この温もりは忘れないよきっと覚えてる」

「うん、そうだね」

「朔はさ、私のヒーローみたい」

「そんなことない。ただの幼なじみでいいんだよ」

ただの幼なじみ。
気の置けない関係ってことだよね?

「じゃあ夏休みさ、朔とどっかに遊びに行く!」

「あぁ! もちろんいいよ。今日は悲しいこともあったから、楽しいこともしたいよな!」

それもまた、記憶には残らなくとも。
心の中のぬくもりになっていく。