「愛息が行方不明になったのだから、当然その時期に王都や教会に子の捜索届を出したはずだろうと聞いているのだ」
思わぬ返しだったからか、ドレイクは口を軽く開けたまま固まってしまった。
直後、クロウの言葉の真意を悟り歯を食いしばる。
故意にアウルを追い出したドレイクたちは、もちろん捜索届なんか出しているはずもない。
帰ってこられたら困るからと、魔物がいる危険地帯に置き去りにしたほどなのだから。
痛いところを突かれたと、奴の顔にはそう書いてあった。
その表情を見たクロウが、ここぞとばかりに詰め寄る。
「まさか大切な息子が行方不明になったというのに、必要な手続きをなにひとつしていなかったと言うのではあるまいな?」
「そ、それは……単に忘れていただけだ。息子がいなくなったことに動揺していて、なにも手につかず……」
「一カ月以上もか? しかもその間、他の誰も屋敷の人間はアウルの行方を案じて捜索届を代わりに出すこともしなかったのか?」
「……っ!」
クロウが話すほどにドレイク側の言い分のおかしさが際立つ。
クロウとストークがアウルを拾ったのはおよそ一カ月前。
行方不明を主張するなら、その時期から捜索届を出していないと辻(つじ)褄(つま)が合わないことになってしまう。
仮に息子がいなくなったショックで届け出を忘れていたとしても、周囲の人間全員がそんな状態に陥っていたとは考えにくい。
「ちなみにこちらはしっかりと、アウルを拾ってすぐに王都と教会へ届け出をしている。貴様らが本当にアウルを捜す気でいたなら、当然その届け出に反応を示しているはずだがな」
思い返せば拾われた際、クロウは『念のために王都と教会への届け出はしておけ』とストークに命じていた。
普段からきっちりと襟を正して生きることの大切さを、クロウから教えてもらったような気がした。
真っ当なやり方で悪を言い負かす。凛々しいその姿に、圧倒的なカッコよさと心強さを感じた。

