「想代。コーヒー淹れたからどうぞ」

「ありがと」

あの日から、護くんは私が残業の日は一緒に残ってくれるようになった。

仕事中に話しかけることはなくて、必要な会話以外はお互いに黙々と作業をしている。

帰りは護くんが車で家まで送ってくれて、すぐに解散。

会社から家までの短い車内での時間と、今みたいにコーヒーを淹れてくれた時だけしか会話はしない。

でも、その少ない会話だけでも安心出来るようになっていた。

まだ護くんと再会して一ヶ月ほどなのに、再会した時よりずっと護くんに気を許していて。