「昔ね、あのアパートで殺人事件があったんだ」
二千年、七月十八日。
当時小学生だった長谷川悠里ちゃんは、母親に殺された。
原因は些細なことだった。
「悠里、宿題しなさい」
「今やんない」
悠里ちゃんが母親に反抗したのが原因で殺された。
「痛い、やめてよ」
母親は悠里ちゃんの髪の毛を掴んで引きずった。
そして、外に連れ出しナイフで悠里ちゃんの身体を八つに分解した。
最後に目をほじくって、排水溝に放り投げた。
「近所の住民が悠里ちゃんの叫び声を聞いて通報して
母親は逮捕され、無期懲役になったんだけどね」
悠里ちゃんのお母さんは、今も容疑を否認しているとのことだった。
「そんなことが…」
悠里ちゃん…どれだけ苦しかっただろうか。
俺が代われるもんなら代わってあげたい。
ふと、そんなことを思ってしまった。


