「有田さん!」


やっとの思いで、有田さんの元へたどり着いた。

「おお原野くん。アパートどうだった?」


何も知らない有田さんは生き生きとした顔で問いかける。

しかし、今は有田さんの質問に答えている場合じゃない。


俺は今見たことを有田さんに打ち明けた。



「えっ、それ本当か?」

有田さんは怯えた表情で言った。

「はい。たった今、前田さんが…」



有田さんはしばらく考えた後、こんな話をし始めた。


「これはきっと、"悠里ちゃん"だな」

「悠里ちゃん?」


悠里ちゃんって誰だろう。


人の名前だよね?



「いい?今から話すこと、落ち着いて聞いてね」

「はい。教えてください」


そして有田さんは、真剣な表情で話し始めた。