「はっ」
俺はいつの間にか眠っていたみたいだ。
いや、夢だったのか?
手足に違和感を感じた。
恐る恐る右手を見ると、
「へっ…」
真っ赤な手形がついていた。そして、
「なにこれ…」
手には髪の毛が握られていた。
「う、うわあ!」
左手からも髪の毛が。
あれはきっと夢じゃない。
現実だったんだ。
俺は昨日のことを思い出した。
前田さんが死んだこと、布団の下から手が出てきたこと。
前田さんはどうなるのか。
行方不明として捜索されるのだろうか。
今日会社に行ったら、普通にいたりして…。
そんな淡い期待を込めて家を出た。


