この世の五つの怖い話



「はっ」


俺はいつの間にか眠っていたみたいだ。


いや、夢だったのか?




手足に違和感を感じた。


恐る恐る右手を見ると、

「へっ…」



真っ赤な手形がついていた。そして、

「なにこれ…」


手には髪の毛が握られていた。




「う、うわあ!」


左手からも髪の毛が。



あれはきっと夢じゃない。


現実だったんだ。



俺は昨日のことを思い出した。

前田さんが死んだこと、布団の下から手が出てきたこと。


前田さんはどうなるのか。

行方不明として捜索されるのだろうか。




今日会社に行ったら、普通にいたりして…。


そんな淡い期待を込めて家を出た。