アパートの裏。
よく見ると、立ち入り禁止の紙が貼ってあった。
前田さんはなぜこんなところにいたのか。
そして、なぜさっきはこの紙に気が付かなかったのか。
頭の中は疑問でいっぱいだ。
俺は腕時計を見た。
「もうこんな時間か」
日が暮れ、間もなく十八時だった。
アパートに入り、玄関の鍵を閉める。
買い占めておいたカップラーメンを食べようと、お湯を沸かしていた。
パチ、パチ…
「えっ?」
電気がついたり消えたり…。
それと同時に、髪の長い女が見えた。
電気が消えたときに現れ、ついたときに消える。
よく見ると、少しずつ近づいてきている。
俺は尻餅をついて後退りした。
それでも女は少しずつ近づいてくる。
俺は目を瞑って叫んだ。
「来るなー!」
すると電気がパッとついて、女は消えていた。


