陽翔が大学を卒業する日、家の中には穏やかで誇らしい空気が流れていた。制服ではなくスーツ姿の彼は、少し緊張した表情を見せながらも、私と康太さんに笑顔を向ける。
「ママ、パパ、僕、今日で大学卒業だよ」
「おめでとう、陽翔!」
結愛も少し照れたように微笑みながら、「にぃに、卒業おめでとう!」と手を振る。
陽翔は大学生活で出会った彼女と共に、新たな人生の一歩を踏み出すことを決めていた。二人は家族の前で将来について真剣に話し、結婚への意志を固める。康太さんはそっと陽翔の肩に手を置き、私も手を握る。
「陽翔、二人で幸せになりなさい」
「はい、パパ、ママ」
彼の誠実な言葉に、家族全員が胸を熱くする。
結婚式の日、陽翔は少し緊張しながらも晴れやかな笑顔を見せ、私たち夫婦はその姿に思わず涙ぐむ。式場では、陽翔と彼女が誓いの言葉を交わし、互いを支え合う姿が輝いていた。結愛も兄の晴れ姿を見て、自然と微笑みながら拍手を送る。
一方で、結愛も高校卒業を迎え、彼氏との関係を続けつつも自分の人生を大切にする姿を見せる。大学進学や仕事への挑戦、趣味や友人関係など、自分の道を自分の意思で進む結愛を、私と康太さんはそっと見守る。
「結愛、自分のやりたいことを大事にね」
「うん、ママ、パパ」
彼女は柔らかく頷き、時に悩みながらも前に進む姿が、私たち夫婦に深い安心感を与える。
陽翔と結愛、それぞれの人生の歩みが変化しても、家族の絆は変わらず温かい。休日には家族で食卓を囲み、互いの近況や将来の話を楽しむ。陽翔は結婚生活の話を時折交え、結愛は自分の挑戦や友人関係について語る。私と康太さんは、二人の成長を微笑ましく見守りながら、時折助言や励ましを送る。
夜、寝室で康太さんと手を握り合いながら話す。
「陽翔も結愛も、自分の道をしっかり歩いてるね」
「そうだな。二人とも、それぞれの人生を大切にしている。僕らはただ見守るだけだ」
私は頷き、子供たちの成長と家族の絆を深く感じる。
家族の日常は忙しくも充実している。陽翔の結婚準備や結愛の自立への挑戦、それぞれの変化に合わせて生活のリズムも変わる。しかし、笑い声や会話、日常の些細な出来事は、変わらず家族をつなぐ大切なものだ。
夕食後、家族で庭に出て星を見上げる。陽翔は結婚後の夢を語り、結愛は自分の未来を思い描く。康太さんと私は、そんな二人をそっと見守り、温かい時間を共有する。夜空に広がる星の光の下、家族の物語は変わらず続いていく。
私たち夫婦の胸には、子供たちの成長と、家族としての絆の深まりが静かに染み渡っていた。陽翔の結婚、結愛の自立――それぞれが自分の人生を歩みながらも、互いに支え合う姿は、家族の未来を確かなものにしていた。