ぜんぶ、ちょうだい。




「お前、今日も無視されたの?」



前の席の清水が、いつものように振り返ってくる。
朝の挨拶よりも早く、私が泉先輩に無視されたかどうかだけを確認してくるのが、彼の日課らしい。



「そうだよっ」



ちょっとムキになって答えると、清水は笑いながら言った。



「懲りねーな。推しなんてものはな、遠くから眺めてるだけでいいんだよ」



……清水、分かってない。

ぜーんぜん分かってない。


泉先輩のこと、“推し”なんて思ってないもん。