〇学校/教室
文化祭実行委員決め中、自分の席に座って頭を抱える凛真。※前回の思い出し
『彩人は私のだから!!』
凛真(つい口走ってしまった…)(言うつもりなんかなかったのに、咄嗟に、気付いたら声に出てた…)
チラッと斜め前の席を見ると超ご機嫌の彩人。
凛真(あぁ~~~~~!恥ずかしい~~~~~!!!)
抱えた頭をブンブンと振る、後ろのクラスメイト引いてる。
担任(若い男の先生)「文化祭実行委員、誰か立候補いない~?」「いないならくじだけどいい~?」
クラスメイト「「「えぇ~~~っ(嫌そう)」」」
担任「だって誰もやってくれないんだもん」
凛真(なんであんなこと言っちゃったのかな、私のものでも何でもないのに…)
話聞いてない凛真、俯きながらはぁっとため息を吐く。
担任「今年は近所の幼稚園児たちも幼稚園のイベントとして来ることになってるから、子供たちと触れ合うことも出来るよ」
今まで聞いてなかった凛真、その言葉に耳を傾ける。
男子「それがめんどいんだよ」
担任「なんでだよっ、可愛いだろ子供たち!」「可愛い子供たち案内出来るなんて至福だろ!」
凛真(そうなんだ、そーいえばうちの学校の近く幼稚園あった…)
凛真「……。」
無表情で固まって悩んでる、話し合いはどんどん進んでいく。
担任「じゃあいないならくっ」
凛真「はい!」
立ち上がって手を上げる、ぴしっと上げた手とは反対に少しこわばった表情で。
凛真「やります、文化祭実行委員…!」
みんなが凛真の方を見る。
担任「おー、佐野やってくれるの?ありがとう、助かるな~!」
凛真「はい…っ」
樹音「(前の席、振り返って)え、凛真やるの!?」
凛真「うん…、子供たち来るならって」
樹音「あ、凛真子供好きだもんね!」
凛真「うん、そう…だから…」
担任「じゃあ、あともう1人!」
クラスメイト「「「え~~~!?」」」
担任「男子で立候っ」
彩人「俺やります」
立ち上がる彩人に、えっ!?という顔をする凛真、樹音。クラスもざわめく。
担任「ありがとう持田!じゃあ佐野と持田にお願いしよう!」
凛真不服そうな顔で斜め前を見る、振り返る彩人。
彩人「凛真がんばろうね」※ニコッ
凛真「…いつもはこうゆうのやりたがらないじゃん」
彩人「うん、だって凛真が他の男のと2人になるの許せな…」
クラスメイト(((漏れてる、漏れてる心の声…!)))
彩人「じゃなくて俺も子供好きだし?」
クラスメイト(((疑問形かよっ)))
担任「じゃあ2人とも前に出てクラス模擬店について話し合って~」
前に出るついでに彩人にこそこそと話しかける。
凛真「彩人、子供好きじゃないでしょ」
彩人「好きだよ、凛真のことが」
凛真「私は子供じゃないよ!」
彩人「凛真は俺と子供どっちが好き?」
凛真「子供!」
担任教卓から離れ窓際に、凛真たち教卓の前に立つ。
担任「あ、そうそう!あとミスタミスコンの選出もしてくれる?」「クラスで人気の男子と女子を選ぶ企画ね!」
凛真「……。」
凛真(クラスから男女1人ずつ選んで文化祭当日投票で決めるコンテストだよね、こうゆうの決めるの苦手なんだけど…)(実行委員より決めにくいっていうか、基本他薦だけど言いにくいし引き受けてくれるかどうかも…)
担任「誰か立候補いない?」
凛真(先生!!?)
担任「いないならくじで…」
凛真(それは絶対違います先生!!!)
女子①「ミスタコンは持田くんがいいと思います!」
はいっと手を上げる、それに賛同する女子たち。
「賛成~!」「てゆーか他にいなくない?」「持田くんよりビジュいい人なんか学校にもいないよ」
男子たちもまぁ彩人には勝てないよなーという雰囲気。
担任「じゃあ持田やってくれる?」
彩人「文化祭実行委員で忙しいので無理です」
凛真(即答!!?)(でも彩人、人前に立つの好きじゃないもんねやってくれるとは思えない…)
チラッと隣を見てみる、にこっと笑って返される。
凛真(やってくれたらラクでいいんだけどなぁ)
女子①「でも他にいないし、持田くん以外」
女子②「実行委員はどう思うの?」
凛真(え、私!!?)
じーっと見られたじたじな凛真、もごもごして言葉が出てこない。しばらくの沈黙後、ゆっくり口を開く。
凛真「…私も彩人がやってくれたら…助かります(どんどん小さくなっていく声)」
すーっと隣を見る凛真、耐えられなくなってすぐ前を向く。
凛真(ダメだよ!これはダメだよね!?この空気に耐えられなくなって彩人に押し付けるのは…!)
彩人「いいよ」
凛真(え…?)
彩人「ミスタコン出てもいいけど」
凛真「いいの!?」
クラス中大喜びでわーわーなる教室。
担任「じゃあミスタコンは持田くんで、次はミスコンな~!」
女子①「女子どうする~!?」
女子②「持田くんの隣に並べる人いる!?」
女子③「いないよ!並びたい気持ちはあるけど!」
男子①「お前には無理だろっ」
女子③「失礼だな!?」
騒がしい教室の中、こそっと彩人に聞く。
凛真「本当にいいの?」
彩人「いいよ、凛真が投票してくれるなら」
凛真「するよ!それはするけどっ、…いいのかなって」
彩人「よくはないけど凛真が出てほしそうだったから」
凛真「(気まずい顔)ごめんね…?」
彩人「やっぱやめようかな」
凛真「えっ、困る!彩人出てくれないと…っ」
くすっと笑って凛真に顔を近付ける、耳元で。
彩人「じゃあ俺の言うこと1つ聞いてくれる?」
凛真「え?」
女子①「ミスコンは樹音がいいと思う!」
女子②「わかる~、樹音スタイルいいもん!美人だし!」
樹音「え、ほんとに?」
担任「お、引き受けてくれるか?」
樹音「みんなが言うなら~!やってもいいかなっ♡」
話し合い聞いてない彩人、こそっと凛真の耳元でささやく。
彩人「それならやってあげる、ミスタコン」
凛真(えぇぇぇぇ~~~~~~~!!?)
凛真心の叫び『それはもう脅迫!!!』
〇学校/教室
カーテンの閉め切った教室(女子のみ着替え中)
制服を脱いで着替えてる樹音。
樹音「これ後ろリボンやって」
凛真「樹音、ミスコン引き受けてくれたありがとうね」
樹音の後ろでリボンを結ぶ。
樹音「えー、全然いいよ~!ちょっと楽しみだし」
凛真「ありがとう、本当にありがとう…!(大袈裟に泣くフリ)」
樹音「緊張はするけどね!」
凛真「樹音美人さんだから絶対優勝だよ」
樹音「ありがと~♡」
凛真(そう、それはお世辞なしでそう思ってる。だから樹音が引き受けてくれてうれしいんだ)
樹音「まぁあの彩人が引き受けるとは思わなかったけど」
凛真「(困り顔でリボン結ぶ)……。」
樹音「ついでにうちのクール&キュート写真館でも活躍してくれたらいいよね!!」
凛真「…。」
凛真説明『うちのクラス企画は“クール&キュート写真館”、何をするかというとドレスやメイド服、チャイナに他校の制服などなどに着替えて手作りのフォトスポット前で好きなように撮れる映え写真館。すてきな衣装を着た推しとも写真を撮れちゃうよ♡っていう合法に2ショットを楽しめる企画で』『1番人気だったクラスには特賞として学食無料券が全員に送られることもあってみんなやる気なんだ』
樹音「喋らなきゃイケメンの彩人なんだもん」
凛真「…結び終わったよ」
樹音「でも凛真的にはやっぱ複雑?」
凛真「え?」
振り返る樹音、凛真の顔を見て。
樹音「だって凛真って彩人のこと好きだよね?」
凛真、ちょっと間を置いてはぁっと息を吐く。
凛真「好きじゃないから」
樹音「えー、好きって顔してるよ?」
凛真「してないよ」
樹音から顔を逸らし散らばった衣装やあれこれの片付けをする。
樹音「あれだけ好きって言われるなら付き合ってもよくない?」
樹音に背を向け、手の持った衣装を箱の中に入れ蓋を閉める。
凛真「…好きじゃないよ、彩人は」
凛真(彩人の好きは好きじゃない)
樹音「いや、好きじゃん?どう見ても好きじゃん?」
凛真「……。」
樹音「?」
空き教室の外から呼ぶ声。
男子「おーい、女子着替え終わったか~??」
凛真「はい!もう大丈夫です!」
教室のドアを開けてぞろぞろと男子が入ってくる。それぞれの衣装に着替えた女子を見てキャッキャする。
心平「おぉ~!(樹音を見て)まぁまぁアリじゃん!」
樹音「めちゃくちゃアリでしょ」
凛真「すごく似合ってるよね、絶対樹音のおかでげ男子票は集まるよ」
樹音「凛真ありがとー♡凛真とも撮とうね~♡」
ぎゅーっと凛真のことを抱きしめる、凛真もにこにこ。
心平「つーか凛真は着ねぇの?」
ハタッとする凛真、樹音から離れて苦笑い。
凛真「うん、私はいいかなって。似合わないし」
凛真(身長的にたぶん似合わない、樹音みたいにスラッとしてたらいいんだけど私が来たら七五三…)
ちょっと俯きかける、心平の後ろから現れる彩人。
彩人「凛真は着なくていいよ」
心平「彩人…そうか?着た方がよくね?せっかくなら凛真も」
彩人「いいよね?別に、そんなの着なくてもさ」「ねぇ凛真」
凛真「え…う、うん」
それだけ言うと凛真から視線を逸らし、それに対してちょっとむっとする。
凛真(そんなのって…そんなの着ても私には一緒に写真を撮ってくれる人なんていないかもしれないけどさ!)(そんなハッキリ言わなくてもいいじゃんか…)※すっきりしないような寂しそうな顔
女子①「ねぇねぇ凛真、持田くんに頼んでよ」
女子②「持田くんにこの衣装着てくれるようにって」
手に持っているのはキラキラした王子様衣装。
凛真「え…?」
彩人、無言の圧力でにっこり笑う。着ないよ、の意味。
女子①「お願い!凛真が言えば引き受けてくれると思うんだよね」
凛真「え~、でも…」
女子②「そしたら模擬店の収益も上がるよ!?」
凛真(これは絶対さっきのミスタコンとおんなじだ、私が言えばってみんな思ってる…!)
女子①「凛真お願い~!!」
女子②「凛真も見たくないの!?」
女子①②「「王子様の持田くん!」」
凛真「え!?」
凛真(そんなの私は…!というか、それってなんか…っ)
凛真、彩人の言葉思い出す「じゃあ俺の言うこと1つ聞いてくれる?」
凛真(ダメだ!言えない!!)(だってこれ以上何やらされるかわかんないんだもん…!)(嫌な予感しかしてないのに!)
凛真(え~~~~っ、どうすればいいの!?なんて言えばっ、えっと、ここは…!)
くるっと振り返って心平の方を見る。
凛真「心平くん!!」
彩人、ハッとした顔で目を大きくする。
凛真「心平くんどうかなぁ?背高いし、こうゆう衣装似合うと思うの!」
心平「え、俺?」
凛真「うん、着てみっ」
スッと彩人の手が伸びて来て衣装を持っていく。
凛真「え?」
彩人「着る」
凛真「え!?彩人…っ、いいの?」
キャーっと喜ぶ女子たち。
彩人「凛真は俺に着てほしい?」
凛真「え…っ!?」
彩人「凛真が着てほしいなら着るよ」
凛真(私が着てほしいなら…?)(私は…)
少し俯いて考える。
凛真(私は彩人にこの衣装を…)
彩人「でも着るだけだから、写真は一切撮らない。凛真以外」
凛真「(顔上げる)え!?それじゃ意味ない!」
彩人「だって俺は凛真のもだし」
凛真、きょとん顔で。
凛真(私のものじゃないけどね???)
女子①「それでもいいから!」
女子②「うんうん!持田くんが着てくれるだけでモチベ上がる!!」
凛真「……。」「(しぶしぶ)…じゃあ着てほしいです」
彩人「いいよ」※にこっと笑って
心平「…俺の出る幕は?」
樹音「どんまい」
〇学校/空き教室
ジャージ姿の凛真と彩人、文化祭の準備中。
フラッグ作り、床にフラッグを広げてペンキやポスカを使って絵を描く。
彩人「これって何に使うの?」
凛真「幼稚園の子たちが来た時に振るフラッグだよ、こっちだよ~!みたいなあれ」
彩人「あぁーあれ、旅行の添乗員さんみたいな?」
凛真「そう、それ!私たちのクラスはこのフラッグ作りだから」
膝をつきながらくまの絵を描いてる凛真、その前にしゃがみ込んでる彩人。
彩人「じゃああれは?(壁際に置いてある大きな板を指さして)」
凛真「え、どれ?」
凛真「あ、あれは他のクラスが作ったパネル!絵上手いよね~!」
彩人「凛真も上手いじゃん」
ポスカを手に取ってキャップを開ける彩人。
凛真「私はそうでもないよ、人並みだよ」
彩人「俺よりは全然上手いよ」
フラッグの余ったスペースにへんてこなくまの絵を描いて見せる。
凛真「何これ、カエル?」
凛真思わず笑ってしまう、くすくすと笑って楽しそうな姿に彩人も微笑む。
凛真「彩人って絵だけは昔から下手だよね」
彩人「絵“だけ”はな~」
凛真「あ、なんか感じ悪い!」
でも笑って楽しそうな雰囲気。サクサクと絵を描いていく。
彩人「王子様の俺も、カッコよかったでしょ?」
凛真「…そうゆうの自分で言わないからね」
フラッグを見ていた視線から顔を上げ、凛真の方を見てにひっと笑う。
彩人「でもカッコよかったでしょ?」
凛真「それは…~っ(照れる)」
サッと視線を落として、ぎゅっとポスカを握るように持つ。
凛真「カッコよかった、よ…(小声)」
彩人「え、何?聞こえない」
凛真「何も言ってません!」
照れ隠しに豪快に手を動かして色を塗る。彩人ご満悦。
凛真(そんなの聞かなくても、私がなんて答えるかわかってるんでしょ)(わかってて聞いてきてるんでしょ…?)
そのままひたすら下を向いて絵を描いて色を塗る。手が汚れても気にせず塗り進めていく凛真を愛しそうに見つめる彩人。それを見て自分も作業をする。
凛真「出来た!」
フラッグを広げるように両手で持って掲げる。
凛真「上出来!!」
彩人「いいじゃん」
凛真「ね!上手く出来たよね、よかった!」
凛真とびきりの笑顔で、それを見て優しいまなざしで返す彩人。
彩人「子供たち喜んでくれるんじゃない?」
急に恥ずかしくなって凛真、フラッグを胸の位置まで下ろす。片付けを始める彩人。
凛真「…夢だから、子供たちと関わる仕事するの」
彩人「うん、知ってる」
凛真語り/いつかそんな仕事がしたくて、それが小さい頃からの私の夢で。だから文化祭実行委員もやりたかったの。子供たちのためになるならって。
彩人「俺は凛真のそんなところ、好きだよ」
凛真「え?」
凛真の前に立つ。
彩人「夢に向かって素直で一生懸命なところ」「好き」
凛真、頬を染めて照れる。サッと彩人の前から離れてフラッグを床に広げる。
凛真「だってやるからにはちゃんとしないと!ちゃんとしたいし、出来ることは精一杯!」
彩人「うん、知ってる」「でも無茶はしなでいよね、凛真はがんばりすぎるから」
まだ半分以上残ったペンキの缶を持ちあげようとした凛真の隣に来てスッと手を伸ばしペンキ缶を持ち上げる。
彩人「それ俺やるから」
持ち上げたペンキ缶を棚の上に乗せるため後ろの棚の方へ歩いていく彩人。凛真、少しドキドキしてる。
凛真(彩人だって、文化祭実行委員なんて絶対やる気なかったよね?)(でもちゃんとしてくれるじゃん、私だって彩人のそうゆうとこ…)
凛真(あ!フラッグもっと日当たりのいいところで乾かした方がいいかな!?)
ハッと気づいた凛真、一度床に置いたフラッグを手に取って窓の方へ。しゃがみ込んで丁寧に広げると立てかけてあったパネルの前を通ったせいでパネルに振動が伝わり倒れてくる。それに気付いた彩人。
彩人「凛真危ない!!」
彩人の方を振り向く。
凛真「え?」
―ガシャァァァン(パネル倒れてくる)
彩人「凛真…!!!」
〇学校/保健室
保健の先生の前の丸椅子に座ってる凛真、その後ろで不安そうな彩人。
彩人「先生大丈夫ですか!?」「これ折れてないですか!?最悪ヒビくらいはいってますよね!?労災おりますよね!?」
凛真、たじたじ困った様子。
保健先生「(ため息をついて)ちょっとした擦り傷ね」「あと労災になりません、労働者じゃないから」
彩人「文化祭の準備は労働です!」
凛真「彩人わかったか、ちょっと静かにしてっ」
前に出ようとする彩人を止めて、人差し指を立ててしーっとする。
保健先生「パネルが倒れて来てびっくりして避けた時に手を付いたから擦れちゃって傷になっただけよ」「(呆れ顔)何もしなくても数日で治るから」
彩人「……。」
凛真「……ですよね」
怪我した指先をもう片方の手で隠すように。
保健先生「じゃあこのあと会議あるから、あなたたちも戻りなさいね」
凛真「…はい、ありがとうございました」
保健の先生保健室から出ていく。取り残された2人、気まずそうに凛真立ち上がる。
凛真「ね、なんともなかったでしょ?彩人は大袈裟なんだよ」「わざわざ保健室まで来なくてもよかったのに」
凛真(倒れて来たパネルからちょっと離れてたし、倒れて来たことより倒れた音にびっくりして尻もちついちゃっただけだから実際は)(それ見てびっくりした彩人が…)
運ばれて来た状況思い出す、凛真をお姫様抱っこでここまで走って来た彩人を思い出して頬を赤くする。
凛真(絶対大袈裟すぎる…!)(その状態でここまで運ばれたことの方が恥ずかしいよ、そりゃ保健の先生も呆れ顔するよ!)
恥ずかしさのあまり下を見てた凛真、顔を上げてぴしっと背筋を伸ばして前を向く。
凛真「じゃあ行こっか、彩人…っ」
凛真が振り返ろうとした瞬間後ろから抱きしめる彩人、ぎゅぅっと離れないように抱きしめる。
凛真「彩人、あのっ」
彩人「よかった」
凛真の肩に顔をうずめる。
彩人「凛真に何かあったら俺どうしたらいいかわかんない…」
凛真「……。」
眉をハの字にして何も言えなくなる。
凛真「これぐらい大したことないから、大丈夫だよ」
彩人「凛真がいなくなったら嫌だ」
凛真「……。」※少し困った様子
凛真「私はいなくならないよ」
抱きしめる彩人の腕に手を置いてぽんぽんとする。
凛真「大丈夫だから離して」
彩人「いやだ」
凛真「ここ保健室だよ、誰か来たら困るから」
彩人「やだ」
凛真「彩人!」
うずめてた顔を上げる、のぞき込むように凛真の顔を見る。
彩人「だって俺は凛真のものだもん」
凛真「だからあれはっ、そうゆう意味で言ったんじゃなくて…」
凛真(ついね、つい口走っちゃったの!でも私のじゃないし、てゆーか彩人は物じゃないし!)
凛真「あのね、忘れてあれはっ」
彩人「じゃあ俺を凛真のものにして?」
きょとん顔の凛真、彩人と目を合わせて目をぱちくりする。
凛真(彩人を私のものに…?)
凛真「……。」
凛真(って何ーーーーーーーーーー!!?)
文化祭実行委員決め中、自分の席に座って頭を抱える凛真。※前回の思い出し
『彩人は私のだから!!』
凛真(つい口走ってしまった…)(言うつもりなんかなかったのに、咄嗟に、気付いたら声に出てた…)
チラッと斜め前の席を見ると超ご機嫌の彩人。
凛真(あぁ~~~~~!恥ずかしい~~~~~!!!)
抱えた頭をブンブンと振る、後ろのクラスメイト引いてる。
担任(若い男の先生)「文化祭実行委員、誰か立候補いない~?」「いないならくじだけどいい~?」
クラスメイト「「「えぇ~~~っ(嫌そう)」」」
担任「だって誰もやってくれないんだもん」
凛真(なんであんなこと言っちゃったのかな、私のものでも何でもないのに…)
話聞いてない凛真、俯きながらはぁっとため息を吐く。
担任「今年は近所の幼稚園児たちも幼稚園のイベントとして来ることになってるから、子供たちと触れ合うことも出来るよ」
今まで聞いてなかった凛真、その言葉に耳を傾ける。
男子「それがめんどいんだよ」
担任「なんでだよっ、可愛いだろ子供たち!」「可愛い子供たち案内出来るなんて至福だろ!」
凛真(そうなんだ、そーいえばうちの学校の近く幼稚園あった…)
凛真「……。」
無表情で固まって悩んでる、話し合いはどんどん進んでいく。
担任「じゃあいないならくっ」
凛真「はい!」
立ち上がって手を上げる、ぴしっと上げた手とは反対に少しこわばった表情で。
凛真「やります、文化祭実行委員…!」
みんなが凛真の方を見る。
担任「おー、佐野やってくれるの?ありがとう、助かるな~!」
凛真「はい…っ」
樹音「(前の席、振り返って)え、凛真やるの!?」
凛真「うん…、子供たち来るならって」
樹音「あ、凛真子供好きだもんね!」
凛真「うん、そう…だから…」
担任「じゃあ、あともう1人!」
クラスメイト「「「え~~~!?」」」
担任「男子で立候っ」
彩人「俺やります」
立ち上がる彩人に、えっ!?という顔をする凛真、樹音。クラスもざわめく。
担任「ありがとう持田!じゃあ佐野と持田にお願いしよう!」
凛真不服そうな顔で斜め前を見る、振り返る彩人。
彩人「凛真がんばろうね」※ニコッ
凛真「…いつもはこうゆうのやりたがらないじゃん」
彩人「うん、だって凛真が他の男のと2人になるの許せな…」
クラスメイト(((漏れてる、漏れてる心の声…!)))
彩人「じゃなくて俺も子供好きだし?」
クラスメイト(((疑問形かよっ)))
担任「じゃあ2人とも前に出てクラス模擬店について話し合って~」
前に出るついでに彩人にこそこそと話しかける。
凛真「彩人、子供好きじゃないでしょ」
彩人「好きだよ、凛真のことが」
凛真「私は子供じゃないよ!」
彩人「凛真は俺と子供どっちが好き?」
凛真「子供!」
担任教卓から離れ窓際に、凛真たち教卓の前に立つ。
担任「あ、そうそう!あとミスタミスコンの選出もしてくれる?」「クラスで人気の男子と女子を選ぶ企画ね!」
凛真「……。」
凛真(クラスから男女1人ずつ選んで文化祭当日投票で決めるコンテストだよね、こうゆうの決めるの苦手なんだけど…)(実行委員より決めにくいっていうか、基本他薦だけど言いにくいし引き受けてくれるかどうかも…)
担任「誰か立候補いない?」
凛真(先生!!?)
担任「いないならくじで…」
凛真(それは絶対違います先生!!!)
女子①「ミスタコンは持田くんがいいと思います!」
はいっと手を上げる、それに賛同する女子たち。
「賛成~!」「てゆーか他にいなくない?」「持田くんよりビジュいい人なんか学校にもいないよ」
男子たちもまぁ彩人には勝てないよなーという雰囲気。
担任「じゃあ持田やってくれる?」
彩人「文化祭実行委員で忙しいので無理です」
凛真(即答!!?)(でも彩人、人前に立つの好きじゃないもんねやってくれるとは思えない…)
チラッと隣を見てみる、にこっと笑って返される。
凛真(やってくれたらラクでいいんだけどなぁ)
女子①「でも他にいないし、持田くん以外」
女子②「実行委員はどう思うの?」
凛真(え、私!!?)
じーっと見られたじたじな凛真、もごもごして言葉が出てこない。しばらくの沈黙後、ゆっくり口を開く。
凛真「…私も彩人がやってくれたら…助かります(どんどん小さくなっていく声)」
すーっと隣を見る凛真、耐えられなくなってすぐ前を向く。
凛真(ダメだよ!これはダメだよね!?この空気に耐えられなくなって彩人に押し付けるのは…!)
彩人「いいよ」
凛真(え…?)
彩人「ミスタコン出てもいいけど」
凛真「いいの!?」
クラス中大喜びでわーわーなる教室。
担任「じゃあミスタコンは持田くんで、次はミスコンな~!」
女子①「女子どうする~!?」
女子②「持田くんの隣に並べる人いる!?」
女子③「いないよ!並びたい気持ちはあるけど!」
男子①「お前には無理だろっ」
女子③「失礼だな!?」
騒がしい教室の中、こそっと彩人に聞く。
凛真「本当にいいの?」
彩人「いいよ、凛真が投票してくれるなら」
凛真「するよ!それはするけどっ、…いいのかなって」
彩人「よくはないけど凛真が出てほしそうだったから」
凛真「(気まずい顔)ごめんね…?」
彩人「やっぱやめようかな」
凛真「えっ、困る!彩人出てくれないと…っ」
くすっと笑って凛真に顔を近付ける、耳元で。
彩人「じゃあ俺の言うこと1つ聞いてくれる?」
凛真「え?」
女子①「ミスコンは樹音がいいと思う!」
女子②「わかる~、樹音スタイルいいもん!美人だし!」
樹音「え、ほんとに?」
担任「お、引き受けてくれるか?」
樹音「みんなが言うなら~!やってもいいかなっ♡」
話し合い聞いてない彩人、こそっと凛真の耳元でささやく。
彩人「それならやってあげる、ミスタコン」
凛真(えぇぇぇぇ~~~~~~~!!?)
凛真心の叫び『それはもう脅迫!!!』
〇学校/教室
カーテンの閉め切った教室(女子のみ着替え中)
制服を脱いで着替えてる樹音。
樹音「これ後ろリボンやって」
凛真「樹音、ミスコン引き受けてくれたありがとうね」
樹音の後ろでリボンを結ぶ。
樹音「えー、全然いいよ~!ちょっと楽しみだし」
凛真「ありがとう、本当にありがとう…!(大袈裟に泣くフリ)」
樹音「緊張はするけどね!」
凛真「樹音美人さんだから絶対優勝だよ」
樹音「ありがと~♡」
凛真(そう、それはお世辞なしでそう思ってる。だから樹音が引き受けてくれてうれしいんだ)
樹音「まぁあの彩人が引き受けるとは思わなかったけど」
凛真「(困り顔でリボン結ぶ)……。」
樹音「ついでにうちのクール&キュート写真館でも活躍してくれたらいいよね!!」
凛真「…。」
凛真説明『うちのクラス企画は“クール&キュート写真館”、何をするかというとドレスやメイド服、チャイナに他校の制服などなどに着替えて手作りのフォトスポット前で好きなように撮れる映え写真館。すてきな衣装を着た推しとも写真を撮れちゃうよ♡っていう合法に2ショットを楽しめる企画で』『1番人気だったクラスには特賞として学食無料券が全員に送られることもあってみんなやる気なんだ』
樹音「喋らなきゃイケメンの彩人なんだもん」
凛真「…結び終わったよ」
樹音「でも凛真的にはやっぱ複雑?」
凛真「え?」
振り返る樹音、凛真の顔を見て。
樹音「だって凛真って彩人のこと好きだよね?」
凛真、ちょっと間を置いてはぁっと息を吐く。
凛真「好きじゃないから」
樹音「えー、好きって顔してるよ?」
凛真「してないよ」
樹音から顔を逸らし散らばった衣装やあれこれの片付けをする。
樹音「あれだけ好きって言われるなら付き合ってもよくない?」
樹音に背を向け、手の持った衣装を箱の中に入れ蓋を閉める。
凛真「…好きじゃないよ、彩人は」
凛真(彩人の好きは好きじゃない)
樹音「いや、好きじゃん?どう見ても好きじゃん?」
凛真「……。」
樹音「?」
空き教室の外から呼ぶ声。
男子「おーい、女子着替え終わったか~??」
凛真「はい!もう大丈夫です!」
教室のドアを開けてぞろぞろと男子が入ってくる。それぞれの衣装に着替えた女子を見てキャッキャする。
心平「おぉ~!(樹音を見て)まぁまぁアリじゃん!」
樹音「めちゃくちゃアリでしょ」
凛真「すごく似合ってるよね、絶対樹音のおかでげ男子票は集まるよ」
樹音「凛真ありがとー♡凛真とも撮とうね~♡」
ぎゅーっと凛真のことを抱きしめる、凛真もにこにこ。
心平「つーか凛真は着ねぇの?」
ハタッとする凛真、樹音から離れて苦笑い。
凛真「うん、私はいいかなって。似合わないし」
凛真(身長的にたぶん似合わない、樹音みたいにスラッとしてたらいいんだけど私が来たら七五三…)
ちょっと俯きかける、心平の後ろから現れる彩人。
彩人「凛真は着なくていいよ」
心平「彩人…そうか?着た方がよくね?せっかくなら凛真も」
彩人「いいよね?別に、そんなの着なくてもさ」「ねぇ凛真」
凛真「え…う、うん」
それだけ言うと凛真から視線を逸らし、それに対してちょっとむっとする。
凛真(そんなのって…そんなの着ても私には一緒に写真を撮ってくれる人なんていないかもしれないけどさ!)(そんなハッキリ言わなくてもいいじゃんか…)※すっきりしないような寂しそうな顔
女子①「ねぇねぇ凛真、持田くんに頼んでよ」
女子②「持田くんにこの衣装着てくれるようにって」
手に持っているのはキラキラした王子様衣装。
凛真「え…?」
彩人、無言の圧力でにっこり笑う。着ないよ、の意味。
女子①「お願い!凛真が言えば引き受けてくれると思うんだよね」
凛真「え~、でも…」
女子②「そしたら模擬店の収益も上がるよ!?」
凛真(これは絶対さっきのミスタコンとおんなじだ、私が言えばってみんな思ってる…!)
女子①「凛真お願い~!!」
女子②「凛真も見たくないの!?」
女子①②「「王子様の持田くん!」」
凛真「え!?」
凛真(そんなの私は…!というか、それってなんか…っ)
凛真、彩人の言葉思い出す「じゃあ俺の言うこと1つ聞いてくれる?」
凛真(ダメだ!言えない!!)(だってこれ以上何やらされるかわかんないんだもん…!)(嫌な予感しかしてないのに!)
凛真(え~~~~っ、どうすればいいの!?なんて言えばっ、えっと、ここは…!)
くるっと振り返って心平の方を見る。
凛真「心平くん!!」
彩人、ハッとした顔で目を大きくする。
凛真「心平くんどうかなぁ?背高いし、こうゆう衣装似合うと思うの!」
心平「え、俺?」
凛真「うん、着てみっ」
スッと彩人の手が伸びて来て衣装を持っていく。
凛真「え?」
彩人「着る」
凛真「え!?彩人…っ、いいの?」
キャーっと喜ぶ女子たち。
彩人「凛真は俺に着てほしい?」
凛真「え…っ!?」
彩人「凛真が着てほしいなら着るよ」
凛真(私が着てほしいなら…?)(私は…)
少し俯いて考える。
凛真(私は彩人にこの衣装を…)
彩人「でも着るだけだから、写真は一切撮らない。凛真以外」
凛真「(顔上げる)え!?それじゃ意味ない!」
彩人「だって俺は凛真のもだし」
凛真、きょとん顔で。
凛真(私のものじゃないけどね???)
女子①「それでもいいから!」
女子②「うんうん!持田くんが着てくれるだけでモチベ上がる!!」
凛真「……。」「(しぶしぶ)…じゃあ着てほしいです」
彩人「いいよ」※にこっと笑って
心平「…俺の出る幕は?」
樹音「どんまい」
〇学校/空き教室
ジャージ姿の凛真と彩人、文化祭の準備中。
フラッグ作り、床にフラッグを広げてペンキやポスカを使って絵を描く。
彩人「これって何に使うの?」
凛真「幼稚園の子たちが来た時に振るフラッグだよ、こっちだよ~!みたいなあれ」
彩人「あぁーあれ、旅行の添乗員さんみたいな?」
凛真「そう、それ!私たちのクラスはこのフラッグ作りだから」
膝をつきながらくまの絵を描いてる凛真、その前にしゃがみ込んでる彩人。
彩人「じゃああれは?(壁際に置いてある大きな板を指さして)」
凛真「え、どれ?」
凛真「あ、あれは他のクラスが作ったパネル!絵上手いよね~!」
彩人「凛真も上手いじゃん」
ポスカを手に取ってキャップを開ける彩人。
凛真「私はそうでもないよ、人並みだよ」
彩人「俺よりは全然上手いよ」
フラッグの余ったスペースにへんてこなくまの絵を描いて見せる。
凛真「何これ、カエル?」
凛真思わず笑ってしまう、くすくすと笑って楽しそうな姿に彩人も微笑む。
凛真「彩人って絵だけは昔から下手だよね」
彩人「絵“だけ”はな~」
凛真「あ、なんか感じ悪い!」
でも笑って楽しそうな雰囲気。サクサクと絵を描いていく。
彩人「王子様の俺も、カッコよかったでしょ?」
凛真「…そうゆうの自分で言わないからね」
フラッグを見ていた視線から顔を上げ、凛真の方を見てにひっと笑う。
彩人「でもカッコよかったでしょ?」
凛真「それは…~っ(照れる)」
サッと視線を落として、ぎゅっとポスカを握るように持つ。
凛真「カッコよかった、よ…(小声)」
彩人「え、何?聞こえない」
凛真「何も言ってません!」
照れ隠しに豪快に手を動かして色を塗る。彩人ご満悦。
凛真(そんなの聞かなくても、私がなんて答えるかわかってるんでしょ)(わかってて聞いてきてるんでしょ…?)
そのままひたすら下を向いて絵を描いて色を塗る。手が汚れても気にせず塗り進めていく凛真を愛しそうに見つめる彩人。それを見て自分も作業をする。
凛真「出来た!」
フラッグを広げるように両手で持って掲げる。
凛真「上出来!!」
彩人「いいじゃん」
凛真「ね!上手く出来たよね、よかった!」
凛真とびきりの笑顔で、それを見て優しいまなざしで返す彩人。
彩人「子供たち喜んでくれるんじゃない?」
急に恥ずかしくなって凛真、フラッグを胸の位置まで下ろす。片付けを始める彩人。
凛真「…夢だから、子供たちと関わる仕事するの」
彩人「うん、知ってる」
凛真語り/いつかそんな仕事がしたくて、それが小さい頃からの私の夢で。だから文化祭実行委員もやりたかったの。子供たちのためになるならって。
彩人「俺は凛真のそんなところ、好きだよ」
凛真「え?」
凛真の前に立つ。
彩人「夢に向かって素直で一生懸命なところ」「好き」
凛真、頬を染めて照れる。サッと彩人の前から離れてフラッグを床に広げる。
凛真「だってやるからにはちゃんとしないと!ちゃんとしたいし、出来ることは精一杯!」
彩人「うん、知ってる」「でも無茶はしなでいよね、凛真はがんばりすぎるから」
まだ半分以上残ったペンキの缶を持ちあげようとした凛真の隣に来てスッと手を伸ばしペンキ缶を持ち上げる。
彩人「それ俺やるから」
持ち上げたペンキ缶を棚の上に乗せるため後ろの棚の方へ歩いていく彩人。凛真、少しドキドキしてる。
凛真(彩人だって、文化祭実行委員なんて絶対やる気なかったよね?)(でもちゃんとしてくれるじゃん、私だって彩人のそうゆうとこ…)
凛真(あ!フラッグもっと日当たりのいいところで乾かした方がいいかな!?)
ハッと気づいた凛真、一度床に置いたフラッグを手に取って窓の方へ。しゃがみ込んで丁寧に広げると立てかけてあったパネルの前を通ったせいでパネルに振動が伝わり倒れてくる。それに気付いた彩人。
彩人「凛真危ない!!」
彩人の方を振り向く。
凛真「え?」
―ガシャァァァン(パネル倒れてくる)
彩人「凛真…!!!」
〇学校/保健室
保健の先生の前の丸椅子に座ってる凛真、その後ろで不安そうな彩人。
彩人「先生大丈夫ですか!?」「これ折れてないですか!?最悪ヒビくらいはいってますよね!?労災おりますよね!?」
凛真、たじたじ困った様子。
保健先生「(ため息をついて)ちょっとした擦り傷ね」「あと労災になりません、労働者じゃないから」
彩人「文化祭の準備は労働です!」
凛真「彩人わかったか、ちょっと静かにしてっ」
前に出ようとする彩人を止めて、人差し指を立ててしーっとする。
保健先生「パネルが倒れて来てびっくりして避けた時に手を付いたから擦れちゃって傷になっただけよ」「(呆れ顔)何もしなくても数日で治るから」
彩人「……。」
凛真「……ですよね」
怪我した指先をもう片方の手で隠すように。
保健先生「じゃあこのあと会議あるから、あなたたちも戻りなさいね」
凛真「…はい、ありがとうございました」
保健の先生保健室から出ていく。取り残された2人、気まずそうに凛真立ち上がる。
凛真「ね、なんともなかったでしょ?彩人は大袈裟なんだよ」「わざわざ保健室まで来なくてもよかったのに」
凛真(倒れて来たパネルからちょっと離れてたし、倒れて来たことより倒れた音にびっくりして尻もちついちゃっただけだから実際は)(それ見てびっくりした彩人が…)
運ばれて来た状況思い出す、凛真をお姫様抱っこでここまで走って来た彩人を思い出して頬を赤くする。
凛真(絶対大袈裟すぎる…!)(その状態でここまで運ばれたことの方が恥ずかしいよ、そりゃ保健の先生も呆れ顔するよ!)
恥ずかしさのあまり下を見てた凛真、顔を上げてぴしっと背筋を伸ばして前を向く。
凛真「じゃあ行こっか、彩人…っ」
凛真が振り返ろうとした瞬間後ろから抱きしめる彩人、ぎゅぅっと離れないように抱きしめる。
凛真「彩人、あのっ」
彩人「よかった」
凛真の肩に顔をうずめる。
彩人「凛真に何かあったら俺どうしたらいいかわかんない…」
凛真「……。」
眉をハの字にして何も言えなくなる。
凛真「これぐらい大したことないから、大丈夫だよ」
彩人「凛真がいなくなったら嫌だ」
凛真「……。」※少し困った様子
凛真「私はいなくならないよ」
抱きしめる彩人の腕に手を置いてぽんぽんとする。
凛真「大丈夫だから離して」
彩人「いやだ」
凛真「ここ保健室だよ、誰か来たら困るから」
彩人「やだ」
凛真「彩人!」
うずめてた顔を上げる、のぞき込むように凛真の顔を見る。
彩人「だって俺は凛真のものだもん」
凛真「だからあれはっ、そうゆう意味で言ったんじゃなくて…」
凛真(ついね、つい口走っちゃったの!でも私のじゃないし、てゆーか彩人は物じゃないし!)
凛真「あのね、忘れてあれはっ」
彩人「じゃあ俺を凛真のものにして?」
きょとん顔の凛真、彩人と目を合わせて目をぱちくりする。
凛真(彩人を私のものに…?)
凛真「……。」
凛真(って何ーーーーーーーーーー!!?)



