新製品の発表会が再び開かれる日が訪れた。
先日の情報漏洩で揺れたブランドの信用を取り戻すため、透真と玲奈にとって絶対に失敗できない場だった。
会場は華やかな照明に彩られ、記者や来賓たちで埋め尽くされている。
玲奈は深呼吸をして壇上に立った。
その横には透真が並んでいる。
かつては冷たい仮面をまとっていた彼の横顔に、いまは確かな決意が宿っていた。
玲奈が紹介の言葉を述べようとした瞬間、会場の扉が開き、美咲が現れた。
記者たちがざわめき、カメラのフラッシュが一斉に光る。
「待って!」
美咲の声が響いた。
「その香水は――私との記憶から生まれたものよ!」
玲奈の胸が締めつけられる。
場内が騒然とする中、透真が一歩前に出た。
「それは違う」
彼の声は低く、しかし会場全体に響き渡った。
「この香りは、御園玲奈のために作った」
会場に静寂が落ちる。
「彼女が纏っていた涙の色、隠していた心の声。
そのすべてを閉じ込めたのが、この“永遠の香り”だ。
俺のブランドは、彼女がいなければ存在し得ない」
その言葉は、世間の目を恐れず放たれた真実だった。
美咲の顔が引き攣る。
「嘘よ! あなたは私と――」
「過去はどうでもいい。俺が愛しているのは玲奈だ」
透真は玲奈の手を取り、力強く握った。
玲奈の頬を涙が伝う。
それは悲しみの涙ではなく、胸の奥から溢れる歓びの涙だった。
玲奈は壇上で香水の瓶を掲げた。
「この香りは、誰かの心を縛るためのものではありません。
本当の自分を解き放ち、自分らしく生きるための香りです。
そして……私自身が、その魔法に救われました」
大きな拍手が巻き起こる。
会場の空気は熱を帯び、二人を祝福するかのように広がっていった。
発表会が終わり、夜風が吹くバルコニーで二人きりになった。
透真は玲奈の肩を抱き寄せ、囁いた。
「玲奈……これからも、俺の隣にいてくれるか」
玲奈は微笑み、涙を浮かべながら頷いた。
「はい。どんな時も、透真さんの隣に」
夜空に浮かぶ月明かりの下、二人は静かに唇を重ねた。
その瞬間、玲奈の胸に確かに宿ったのは――“永遠の香り”。
先日の情報漏洩で揺れたブランドの信用を取り戻すため、透真と玲奈にとって絶対に失敗できない場だった。
会場は華やかな照明に彩られ、記者や来賓たちで埋め尽くされている。
玲奈は深呼吸をして壇上に立った。
その横には透真が並んでいる。
かつては冷たい仮面をまとっていた彼の横顔に、いまは確かな決意が宿っていた。
玲奈が紹介の言葉を述べようとした瞬間、会場の扉が開き、美咲が現れた。
記者たちがざわめき、カメラのフラッシュが一斉に光る。
「待って!」
美咲の声が響いた。
「その香水は――私との記憶から生まれたものよ!」
玲奈の胸が締めつけられる。
場内が騒然とする中、透真が一歩前に出た。
「それは違う」
彼の声は低く、しかし会場全体に響き渡った。
「この香りは、御園玲奈のために作った」
会場に静寂が落ちる。
「彼女が纏っていた涙の色、隠していた心の声。
そのすべてを閉じ込めたのが、この“永遠の香り”だ。
俺のブランドは、彼女がいなければ存在し得ない」
その言葉は、世間の目を恐れず放たれた真実だった。
美咲の顔が引き攣る。
「嘘よ! あなたは私と――」
「過去はどうでもいい。俺が愛しているのは玲奈だ」
透真は玲奈の手を取り、力強く握った。
玲奈の頬を涙が伝う。
それは悲しみの涙ではなく、胸の奥から溢れる歓びの涙だった。
玲奈は壇上で香水の瓶を掲げた。
「この香りは、誰かの心を縛るためのものではありません。
本当の自分を解き放ち、自分らしく生きるための香りです。
そして……私自身が、その魔法に救われました」
大きな拍手が巻き起こる。
会場の空気は熱を帯び、二人を祝福するかのように広がっていった。
発表会が終わり、夜風が吹くバルコニーで二人きりになった。
透真は玲奈の肩を抱き寄せ、囁いた。
「玲奈……これからも、俺の隣にいてくれるか」
玲奈は微笑み、涙を浮かべながら頷いた。
「はい。どんな時も、透真さんの隣に」
夜空に浮かぶ月明かりの下、二人は静かに唇を重ねた。
その瞬間、玲奈の胸に確かに宿ったのは――“永遠の香り”。

