休暇中の御曹司と出会ったら、愛され過ぎてもう無理です。

「見て。古賀さんが女性を連れているわ」

「本当だわ。初めて見たわね」

「どなたかしら?」


それが好意的なものでないことはすぐに分かった。

敵意までは感じなかったけれど、興味本位が多く混じった視線。

しかし古賀さんは視線に気付きながらも何も気にもせずに、私の背中をトンを軽く叩いた。




「細かいことは気にせずに、人生楽しむんでしょ?」




古賀さんがその視線を「細かいこと」を言い切ってくれるから。

それくらい自分は何も気にしていないと伝えてくれるから。

うん、私は古賀さんが「格好良い」と言い切ってくれた自分でいたい。

「はい! チョコレート大好きなんで、折角なら楽しみます!」

「うん、そうしよう。ただもし本当に周りの目が嫌だったらいつでも言ってね。何とかする」

「何とかするって何ですか……怖いんですが……」

「あはは、これでも古賀の跡取りだからね。夏奈ちゃんを守るくらいはするよ」

古賀さんは軽くそう言い放って、スタスタと会場に入っていく。