休暇中の御曹司と出会ったら、愛され過ぎてもう無理です。

代わりに私はコースの中で一番好きだったメニューを力説しておいた。



「デザートはもちろん最高だったのですが、やっぱりメインのパスタが美味しくて! あと、前菜のドレッシングも美味しかったです! だから……何というか、とっても美味しかったです!」



甘えるのはそんなに得意じゃない。

でも、きっと「美味しかった」の一言が嬉しいものだと思う。

だって、自分だったら折角奢ったなら喜んでもらえることが一番嬉しい。

そういうことが大事な時もあって、それに本心から美味しい料理だと思えたから。

しかし、古賀さんには何故かお見通しだったようで。

「甘え慣れてないな。もっと『次も奢って下さいね!』くらい言っても良いのに」

言えるはずない。

だって、これは一回きりの世界が違う人とのディナーだと分かっている。