休暇中の御曹司と出会ったら、愛され過ぎてもう無理です。

「あの、古賀さん。一応言いますが、無理しないで下さいね。古賀さんが普段どれだけ忙しいのかは私には想像もつきませんが、会社を継ぐ前の貴重なお休みなんですよね?」

「三週間もあるよ?」

「会社を継ぐ前でこれからさらに忙しくなるかもしれないなら、三週間でも短いくらいですよ! 私なら三ヶ月くらい休みたいですし! そんな貴重そうな休みを過ごしている人に私は『うらやましい』と言い放ったと思うと、今思い出しても申し訳ないです……」

「気にしなくて良いのに」

「でも……!」

「本当の本当に気にしなくて良いんだよ。だって、俺が嫌な気持ちになっていないんだから。むしろ夏奈ちゃんと話せて良かったと思っているくらい」

どうして古賀さんがこんなに私を評価してくれているのかが分からない。

だって私はただの隣の家の住民なだけで……もっと言えば、初対面で失礼なことを言ったやつ。

そんな私を自己嫌悪から引っ張り上げるように、前菜が運ばれてくる。


「さ、料理が来たよ。夏奈ちゃん、折角なら楽しもう?」


古賀さんとの不思議なディナーが始まろうとしていた。