元文化部と元運動部の深夜ウォーキング

「長谷川さんはその後一人で自分の家に戻るってこと? 危ないから駄目ですー」

軽く冗談のようにそう返してくれる笠木くんには、「笠木くんの家に寄る」という選択肢が一ミリもないことに胸が苦しくなった。

こんなに人に惹かれるのって早いものだったっけ?
 
深夜の雰囲気に当てられたからとか、お酒が残っているからとかじゃない。

もう普通に笠木くんに惹かれていることは誤魔化しようがなかった。

自分の家が見える。視界に入る。

もう終わりだと勝手に頭が伝えてくる。

嫌だ、と思っても立ち止まることも出来ない。

家に着く直前、僅か十メートル前、笠木くんの足が止まった。