「まずは目標を洗い出してみようか」
涼ちゃんはルーズリーフを一枚取り出して、シャーペンを走らせる。
1、部員を最低でもあと3人集める
2、そのメンバーで文化祭で出すものを決める
3、出し物は人目を大きく引くものであるとする
「こんな感じ?」
私がおむすびの最後のひとくちを飲み込んだのを見てから、涼ちゃんはルーズリーフを私が見やすい方に回転させた。
「この部員3人って……」
「部員の人数、兼部してる人間はカウントしないほうがいいと思う。小細工しないで数の力を見せつけたほうがわかりやすいから」
「そうだね……とするとなあ……」
頭の中で思い描いていたプランがガラガラと崩壊していく。
勧誘して部員になってくれそうなアテは何人かいたけれど、誰もが別の部活で活躍している子ばかりだ。
「毎週金曜日に部長会議あるでしょ? そこで幽霊部員いませんかーって聞いてみてさ、それを手芸部に勧誘するのとか、どう?」
「おお!」
ナイスアイデアに涼ちゃんの手を握りしめる。
しかしすぐに問題点が浮かんで、そのままのポーズで首を落とした。
がくり。
「だめだ……そんな寄せ集めのメンツで文化祭が乗り越えられると思えない。だいたい手芸が好きかどうかもわからないのに」
「あー……ははは……それを言われると、ねえ」
そもそも、手芸が好きだったら最初から手芸部に入っている気がする。
それに、幽霊部員というのは何もやる気のない人たちだけではない。
部活より優先するもの――例えば受験や学外のクラブ活動を抱えているため、やむを得ず名前だけをどこかの部活に入れている人も多いのだ。
そういう人たちを勧誘したところで、名簿が他の部から手芸部に移るだけであって、根本的な解決にはならない。
「どーしよう……詰みじゃん」
課題が明らかになったのは良かったけれど、それが到底達成不可能なものであることも明らかになってしまった。
ずーん。
頭を抱えて机に沈む。
ああ、これじゃあさっきのデジャヴ。堂々巡りだ。
キーンコーンカーンコーン……
そこに予鈴が鳴った。もうオチみたいなタイミングだ。
「あらら」とでも言いたげに、涼ちゃんが手のひらをひらりと泳がせる。
「話は一旦お預けにしましょうか。続きは放課後……と言いたいところだけど、ごめん」
「えっ」
涼ちゃんは両手の人差し指をバツ印にクロスさせる。
「演劇部でもトラブル発生で話し合いがあるの。これだけは外せなくて……ほんと、ごめんね」
「う……うん。わかった。涼ちゃんのおかげでやることもわかったし。ちょっと自分で考えてみるね」
半分本音、半分ウソ。
こんな苦しい時なのに放り出すなんて。
名ばかり副部長でも少しは責任感見せてよ。
そう思ってしまったことがやりきれなくて、なんとか誤魔化そうと一生懸命頬をぎこちなく上げてみせた。
「ごめんね。ほんと、ごめん」
「ううん。演劇部、頑張って」
本鈴が鳴る。涼ちゃんが席を立つのを見送った。
あーあ、やっぱり私に演技は難しいってば!
涼ちゃんはルーズリーフを一枚取り出して、シャーペンを走らせる。
1、部員を最低でもあと3人集める
2、そのメンバーで文化祭で出すものを決める
3、出し物は人目を大きく引くものであるとする
「こんな感じ?」
私がおむすびの最後のひとくちを飲み込んだのを見てから、涼ちゃんはルーズリーフを私が見やすい方に回転させた。
「この部員3人って……」
「部員の人数、兼部してる人間はカウントしないほうがいいと思う。小細工しないで数の力を見せつけたほうがわかりやすいから」
「そうだね……とするとなあ……」
頭の中で思い描いていたプランがガラガラと崩壊していく。
勧誘して部員になってくれそうなアテは何人かいたけれど、誰もが別の部活で活躍している子ばかりだ。
「毎週金曜日に部長会議あるでしょ? そこで幽霊部員いませんかーって聞いてみてさ、それを手芸部に勧誘するのとか、どう?」
「おお!」
ナイスアイデアに涼ちゃんの手を握りしめる。
しかしすぐに問題点が浮かんで、そのままのポーズで首を落とした。
がくり。
「だめだ……そんな寄せ集めのメンツで文化祭が乗り越えられると思えない。だいたい手芸が好きかどうかもわからないのに」
「あー……ははは……それを言われると、ねえ」
そもそも、手芸が好きだったら最初から手芸部に入っている気がする。
それに、幽霊部員というのは何もやる気のない人たちだけではない。
部活より優先するもの――例えば受験や学外のクラブ活動を抱えているため、やむを得ず名前だけをどこかの部活に入れている人も多いのだ。
そういう人たちを勧誘したところで、名簿が他の部から手芸部に移るだけであって、根本的な解決にはならない。
「どーしよう……詰みじゃん」
課題が明らかになったのは良かったけれど、それが到底達成不可能なものであることも明らかになってしまった。
ずーん。
頭を抱えて机に沈む。
ああ、これじゃあさっきのデジャヴ。堂々巡りだ。
キーンコーンカーンコーン……
そこに予鈴が鳴った。もうオチみたいなタイミングだ。
「あらら」とでも言いたげに、涼ちゃんが手のひらをひらりと泳がせる。
「話は一旦お預けにしましょうか。続きは放課後……と言いたいところだけど、ごめん」
「えっ」
涼ちゃんは両手の人差し指をバツ印にクロスさせる。
「演劇部でもトラブル発生で話し合いがあるの。これだけは外せなくて……ほんと、ごめんね」
「う……うん。わかった。涼ちゃんのおかげでやることもわかったし。ちょっと自分で考えてみるね」
半分本音、半分ウソ。
こんな苦しい時なのに放り出すなんて。
名ばかり副部長でも少しは責任感見せてよ。
そう思ってしまったことがやりきれなくて、なんとか誤魔化そうと一生懸命頬をぎこちなく上げてみせた。
「ごめんね。ほんと、ごめん」
「ううん。演劇部、頑張って」
本鈴が鳴る。涼ちゃんが席を立つのを見送った。
あーあ、やっぱり私に演技は難しいってば!



