廃部寸前な手芸部ですが、ユーレイ部員が助けてくれるようです!?

 大切なご挨拶?
 それってどういうことだろう?
 
 布団に上半身を起こした私の横に、真神、鹿弥さん、計兎くんが並んで座る。
 まっすぐな姿勢にこちらまでつられて背筋が伸びた。
 
「俺は真神。狼のミサキガミだ」
 
「俺は鹿弥。名前の通り、鹿のミサキガミ」
 
「ボクは計兎! 数えるの大好き、兎のミサキガミー! この属性はかの有名な神話、因幡の白兎に由来するものなんだけど、ボク的にはあのおマヌケさんと一緒にして欲しくはなーいかなっ」
 
 この状況と文脈にも関わらず、いえーい! とハイタッチしてきた計兎くんだったけど、残念なことに私と一番距離があるところに座っていたのでそれは叶わない。
 代わりに鹿弥さんが小さく手のひらを寄せてあげていた。
 鹿弥さん、優しいな。
 
「ええと……それで、その、ミサキガミ? というのは」
 
「神の使いだ。しかし良からぬ輩によってあの祠に封じられ、俺たちの命は尽きた」
 
「っ!」
 
 待って。話がだいぶスピリチュアルになってきた。
 いや、半透明な時点でそのケはあったけれども!
 
「肉体は滅びても、魂は祠に繋がれたままでしてね。長い年月の間に神との繋がりも切れた俺たちの魂は、穢れに堕ちようとしていたんです」
「長かったよなあー。7万日くらいまでは数えてたんだけど飽きちゃった。まあその頃には意識もぼやけて穢れの侵食が始まってたんだろうけど……」

 えーっと……7万日ってどのくらい?
 1年が365日、10年が3650日、100年が36500日……
 その約2倍? つまり200年?
 
 
 はいいっ!?
 
 いや待てよ。数えられていたのがそこまでなんだから、実際はもっと長かった訳で……
 
 あ、だめだ。理解不能。
 固まった私をよそに、彼ら3人は思い出話に花が咲いている。
 
「恨みの念が魂を引きずり落とすのはもちろんだが、誰からの干渉も受けずに永久不変の無間地獄をひたすら過ごすのが一番堪える」
 
「いくら足掻いても反応がなく、痛めつけられるよりも誰からも振り向いてもらえない虚しさが心を苛むというか」
 
「感覚も遮断されてたから、真神や鹿弥が無事なのかどうかもわからないし……」

 
 あ、なんだろう。
 その感覚、覚えがある。
 
 わかる。
 
 私も手芸部勧誘のチラシを作ったり、部室前の廊下に作品を飾ってアピールしていたけれど何にも反応がなくって……
 涼ちゃんはそんな私を見兼ねて副部長に名前を連ねてくれたけれど、それだって結局、演劇部と天秤にかけたらこっちが飛んでしまう。
 
 やっとの思いで捕まえた残りの3人だって、渋るところを名前だけでいいから! って拝み倒して入ってもらったようなものだし。
 実際、本当に入部届け出して以来顔も合わせてないし、クラスも違うからぶっちゃけ顔も忘れてしまった。部長失格だ。
 
 ひとりぼっちで必死に頑張っても誰も認めてくれなくて。
 
 虚しくて、寂しくて。