(シオン様が失踪したときにいち早く見つけるために、旅行代理店という名の情報網と、ついでに、失踪したシオン様が快適に過ごせるよう、国の各所にホテルも作ってしまったけれど)

目的はシオン様のためだったのだが、鉄道やホテルを維持させるためにパッケージ旅行などを提案したところ、これが庶民にもうけて、鉄道事業はもちろん、旅行代理店も儲かっているのだ。

(まさか、これがこんなふうに役に立つとはね……。それにしても、原作ではただのお祭りだったはずなのにパレードだなんて。ふたりのそばにシオン様がいないから暴走しているのかしら?)

 原作にはなかった流れに私は焦っていた。

(ふたりが並び合ってパレードをする姿を見たら、きっとシオン様が傷つくわ。それに、ふたりが正式に婚約するという噂も耳に入れたくない……そのためには、シオン様を王都から引き離さなくては!)

 私は考え、シオン様に長期旅行に行ってもらおうと考えたのだ。

 シオン様は表情も変えず私を一瞥する。

「今まで、監禁すると言ってたくせに唐突だな」

 矛盾を軽やかに指摘され、私は目を泳がせてしどろもどろに答える。