天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「知っていたのか……」

「いや、逆になぜバレないと?」

「シオンの字など見ることなどないだろう?」

「いえ? 見ますが? 網膜に焼き付けますが?」

 私の答えに、エリカは怯えている。

 シオン様も顔を曇らせた。たしかに少し気味が悪いかも知れない。

 私はコホンと咳払いをした。

「……いえ、ローレンス殿下の字ではないことは明らかだったので、調べさせたのです」

 ローレンス殿下の字は大きくて力強く堂々としている。

 対するシオン様の文字は繊細で美しい嫋やかなものなのだ。

「ともかく! シオン様からの言葉を聞きましたよね? お引き取りください」

 私はローレンス殿下を押し出した。