原作の中ではシオン様が、エリカの絆を感じる大切なアイテムだったのだ。ときおり指輪に口づけては、エリカを思っていた描写があったはずだ。
「っ! 先生!!」
エリカは顔面蒼白になるが、ローレンス殿下はホッと頬を緩ませた。
「王子の婚約者が外部と通信できる魔導具をつけているとわかったら、あらぬ疑いをかけられる。だから私から通信を遮断したのだ。君も王子の婚約者として自覚を持ったほうがいい」
突き放すような声色に、エリカはヒュッと息を呑んだ。
「たしかに、シオンの言うとおりだな」
ローレンス殿下は満足げだ。
事実原作漫画では、その指輪が原因で一波乱あるのだが、このタイミングで壊せばそのフラグもおられるだろう。
「これで納得してくれたか。結婚と退職は私の意志だ」
シオン様の言葉に、エリカは呆然とし、ローレンス殿下は食ってかかる。
「信じられない! なんでこんな悪女を選ぶ!」
悪態をつくローレンスに、シオン様は呆れたような目を向けて、静かにため息をついた。
そして、優しげな瞳でこちらを見て、静かに私の肩を抱いた。
信じられない行動に、私は息を止めて硬直した。



