天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 驚き目を見開く私たちの前で、その闇の中からシオン様が現れる。

「シオン……!」

「先生!!」

 喜ぶエリカたち。

 私は顔面蒼白である。

(ああ……。シオン様はきっとふたりのもとに帰るわ……。全部、無駄になってしまった)

 エリカたちと私のあいだに立つシオン様の背を見て私は絶望した。

(やっぱり、エリカたちのほうに向くのよね……)

 当たり前だ。彼らは古くからの親友で、私とシオン様にはなんの絆もないのだ。

 私は俯き、捨てられる覚悟を決めるしかない。