天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


(シオン様をふたりに会わせたくない。でも、魔塔の中に入られたら困るわ。きっと孤児も魔獣たちももとの場所に返される。ドラゴンだって殺されちゃう)

 困り果てる私を前に、ふたりは詰め寄った。

「ルピナ様、シオン先生を連れてきてください」

「そうだ、自分が選ばれる自信があるなら、抵抗する必要はないだろう!」

 私は唇を噛みしめた。

(私が選ばれる自信なんかあるわけないじゃない!! シオン様はエリカを愛しているんだから!!)

 でも、それでも、私はシオン様が大切なのだ。

 私のことを憎んでいてもいい。生きていてさえくれればいい。私はシオン様を守りたいだけだ。

(でも、どうしたら……)

 困り果てる私の前に、ブワリと黒い闇が降ってきた。